会社で貫井(堤真一)と壮吾(坂口憲二)が喧嘩をして貫井が飛び出した翌朝、壮吾(坂口憲二)、吉武(西村雅彦)そして籐子(深津絵里)は、貫井のことが気がかりで落ち着かないのか、揃っていつもより早く出社していた。三人は貫井を信じていると話し合っていたが、そこへ当の貫井(堤真一)が出社する。彼はまるで昨日の出来事など何もなかったかのように振る舞い、籐子に向かって、昨日自分が投げてしまった缶コーヒーを差し出しながら「悪かったな」と一言だけ告げた。
そんな中、籐子は楠木文具の社長(志賀廣太郎)から、100周年企画に関する広告の相談を持ちかけられる。一方で吉武は貫井に対し、かつて一緒に仕事をしたことのある大手化粧品会社からの案件を持ってきた。それは今度こそ、正式に貫井が指名された仕事だった…
第10話・あらすじ/ネタバレ
しかし貫井は少し考えた末、吉武にこう切り出す。「この依頼、受けないとまずいですよね…でも実は、他にやりたい仕事があるんです」、籐子を手伝って楠木文具の案件に取り組みたいと申し出る。さらに彼は続けた。「この間のことがあってから、ずっと考えていたんです。今の自分に必要なのは、これまでの実績に頼ることではなく、ゼロから自分の力を試すことなんじゃないかって。さっき本宮が楠木文具から相談を受けたと聞いて、いい機会かもしれないと思ったんです。広告だけじゃなく、商品開発から始めて、楠木文具にヒット商品を生み出せるかどうか――ちょうど、ブロックスの缶コーヒーを作った時のように」
楠木文具の仕事に打ち込むその姿は、情熱を持って何かを追い求めていた、かつての貫井そのものだった。
だがその一方で、春菜(矢田亜希子)だけは貫井と籐子の関係が気にかかって仕方がなく心を痛めていた、家でもつい籐子を避けてしまう。籐子自身もこのままの状態を続けることが、互いのために良くないのではないかと感じ始めていた。
楠木文具の仕事に取り組む中で、籐子はユニバーサル時代からの友人須田真季(猫背椿)に対し、自分が貫井企画を辞めるつもりであることを打ち明ける。そして胸の内を吐露した。
「貫井さんが好きなの。何言ってるんだろうね、もう30にもなって。自分でも信じられないんだけど……でも、好きになっちゃった。絶対叶うわけないってわかってる。貫井さんには春菜ちゃんがいるし、たとえいなかったとしても、私なんて相手にされないってわかってる。でも最初は、女として見てもらえなくてもいいから、貫井企画で貫井さんの近くで頑張ろうと思ってた。でも……苦しいんだ。笑っているのがつらくて、もうやんなっちゃう。こんなんだったら、最初から口もきけないでいた方がよかった。遠くから見て憧れているだけの方が、よっぽどましだった」

さらに籐子は春菜にも自分の収入では今の部屋の家賃を払うのが厳しいことを理由に、別に住むことを申し出る。そして同時に貫井企画も辞めるつもりであると伝えた。
しかし春菜はすでに気づいていた、「本当のことを言ってください、籐子さんは貫井さんのことが好きなんですよね?だから事務所も辞めてここも出ていくんですよね?本当のことを言ってください」と真っ直ぐに問いかける。
その言葉に、籐子はついに本心を明かす。「そうなの。私、貫井さんのことが好きになっちゃった。このままそばで二人を見ているのは、ちょっと苦しくて、つらくて……それだけはどうしても割り切れなかったの。ごめんね」
それを聞いた春菜は、静かにしかしはっきりと答えた。「私、籐子さんのこと止めません。止められません。籐子さんのこと大好きだし、幸せになってほしいと思っています。でも……貫井さんとのことだけは譲れませんから」
やがて、貫井と籐子が考えた新商品は、楠木文具の社長の承認を得て、無事に製品化されることとなった。
納品も完了し、いつものように皆で飲みに行こうと壮吾が言い出す。しかし籐子は「やることがあるから、先に行ってて」と言い、一人だけ事務所に残った。
誰もいなくなった事務所を、籐子は何かを噛みしめるように、思い出に浸るように眺め、歩く。既にに吉武には話していたが、楠木文具の仕事が終わったら退職することを決めており、この日が最後の出社日だったのだ。
その後、籐子は飲み会に合流する。いつもと変わらない様子で振る舞う彼女。しかし翌日――二日酔いの貫井と壮吾が、籐子の出社が遅いことを話していると、吉武が静かに告げた。
「彼女は、もうここには来ない」


