- テレビ番組ディレクターの岸本は、元エースアナウンサーの浅川に死刑囚の冤罪調査の協力を持ちかける
- 岸本は自身の保身のため逃げ出すが、浅川は独りで戦う覚悟を決める
- 死刑囚に助けられた過去を持つ”さくら”の告白と、新たな少女殺害事件の発生で物語が動き出す
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エルピス(Elpis)
古代ギリシャ語で様々な災いが飛び出したと伝えられる【パンドラの箱】に残されたものとされ【希望】とも【災厄(さいやく)】とも訳される
ーー2018年、映画『さよなら江戸幕府』の撮影現場
「君は自分を善人だと思っているんだろ。争いを好まず、安寧を旨とする…要するに、取るに足らない凡人だと、物事を動かす力などあるわけがないと。しかし君それは逃げだ、善人とて戦う時が来る。仮にも君はディレクターだ!」
深夜の情報バラエティー番組のディレクター岸本拓朗(眞栄田郷敦)は、主演俳優から一方的な説教を食らっていた。
そこへインタビュアーの浅川恵那(長澤まさみ)が遅れて到着、現場はようやく再開される。しかし説教を浴びた岸本の胸中は釈然としない…なぜなら岸本は自分を「凡人」とは思ってはいなかったからだ…
第1話・あらすじ/ネタバレ
むしろ岸本は、自分は選ばれしエリートであるという自負があった、25年前、裕福な両親の一人息子として生を受けた岸本は、名門校から大学までエスカレーター式に進学。卒業後は大手テレビ局「大洋テレビ」へと入社。
家庭環境も盤石で、母・陸子(筒井真理子)は年収1億円を稼ぎ出す敏腕弁護士。9歳で亡くなった父もまた弁護士だった。成城の一戸建てで母と二人暮らし、母にべた褒めされて育った彼の自己評価は高止まりしたまま特に下がる必要が無かった。
浅川恵那(長澤まさみ)は岸本拓朗(眞栄田郷敦)が担当する番組「フライデーボンボン」のMCを務めている。かつては人気ナンバーワンの女子アナだったが、恋愛スキャンダルをきっかけに深夜番組担当へと降格していた。
物語が動き出す、ある死刑囚の冤罪事件

ある日岸本は、番組のヘアメイク担当である大山さくら(三浦透子)に呼び出される。さくらは岸本が番組出演者の篠山あさみ(華村あすか)を口説いている音声を聞かせる。
「…マジでボンボンガールズの中であさみちゃんがダントツ可愛いって…来週ロケ終わりにどっかいかない?」自分の声を聞かされ岸本は凍り付く。
さくらは今の子は身を守る武器としてこうした音声を収集している、この件をチーフプロデューサーの村井喬一(岡部たかし)の耳に入れば異動は免れないと脅す。
この音声はさくらがあさみから買い取ったものだというので、岸本が買い取り額を尋ねると、さくらは金ではなく力を貸してほしいと取引を持ちかけた。
浅川恵那(長澤まさみ)はこの時期、睡眠障害と摂食障害を抱えていた。
浅川は岸本から深刻な相談があるとしつこく食い下がられる。そこで岸本が見せたのは、10年ほど前に神奈川県で発生した「八頭尾山(はっとうびざん)連続殺人事件」の週刊誌記事だった。3人の若い女性が殺害されたこの事件では、近所に住んでいた板金工の松本良夫(当時50歳)が逮捕されていたが、岸本は「この人は犯人ではない」と断言する。

冤罪を主張する岸本に対し浅川はその根拠を問う。岸本はかつて報道番組(ニュース8)で冤罪特集を担当していた浅川に、真相究明を共に進めてほしいと土下座して懇願する。
浅川は岸本のただならぬ目力に圧倒される。
「えぇぇ…目力…」
マスコミが作り上げた「ロリコン殺人犯」

岸本は2006年当時のニュース映像を浅川に見せる。逮捕当初こそ罪を認めていた死刑囚、松本良夫(片岡正二郎)だが、その後の裁判では警察から無理やり供述させられたとして無実を訴えていた。しかし2016年、死刑判決が下された。
そもそも松本が警察に任意同行された理由は、最初の聞き込みの際、彼の家に家出中の女子中学生がいたからであった
「監禁してたって事?」(浅川)
「ほら! って思うでしょ、違うんです逆だったんです」(岸本)
「逆って?」
「松本さんの家にたまたま家出少女が身を寄せてたんです、それをマスコミがうわーって騒いだんです、未成年誘拐して監禁してやがった変態だ!こいつが犯人に違いないって感じの報道したから、警察がそれに乗っかって、お前が殺したんだろだってロリコンなんだからって、無理やり犯人にさせられちゃったんですよ」
だがその少女は松本から指一本触れられておらず、それどころか娘のように大事にされていたのだという。岸本はそれを「本人から聞いた」と明かす。
その時テレビでは、行方不明になっている女子中学生のニュースが流れていた
スキャンダルの真相と、死刑囚を背負う「覚悟」

浅川の提案で、岸本はまずは報道部にいる浅川の同期に相談を持ち掛けるが「最高裁で死刑が決まっているものはどうしようもない、調査報道なんて誰もやらない」と断られてしまう。
岸本は報道フロアからの帰り際、すれ違った斎藤正一(鈴木亮平)に事件の話を切り出す。斎藤はその事件を覚えていた。
浅川のデスクに戻った岸本が「報道の斎藤正一さん知ってますよね?」と聞くと、フロアが一瞬静まり返る。斎藤が話を聞いてくれることになったと翌日のランチに誘うが、浅川は露骨に会いたくない様子を見せる。
翌日、斎藤とランチを共にする岸本、斎藤は岸本に「お前、社内の人間関係とか興味ないだろ」と、浅川がニュース8を降ろされた週刊誌のスキャンダル写真を検索させる

「うわぁヤバいっすねこの写真」(岸本)
「拡大してみて」(斎藤)
岸本の顔が曇る。浅川が路上キスを撮られたその相手こそ、目の前にいる斎藤だった
「その後すぐ別れたから、正確には元彼氏だけどな」 そこへ遅れて浅川がやって来た。
斎藤は冤罪を晴らすには普通に考えたら方法は二つしかないと説く
1,松本の無実を証明する新証拠を見つける
2,真犯人を見つける
だがその可能性についてはどちらも無いと言い切る。
「最高裁の判決はその位重いんだよ、考えてみろよ、たとえどんな小さな判決だってそこには日本の警察と検察と裁判所の威信がかかってんだよ、つまりお前の何十倍も頭のいい奴らが何百人と口を揃えてこうだって言ったことに対してお前ひとりが違うって言ってる、こういう図だよ、無いだろ?可能性」
だが岸本は可能性が無いかじゃなくて、どうすればあるかを斎藤さんに教えてもらいたいと食い下がる
「言うね、いいねそのガッツ」
再審請求はされているから俺なら特集を組む、連続殺人事件と冤罪疑惑の調査報道、ネタとしては面白いからうまく回れば盛り上がるだろうし、国中から再審しろって言う声があがる位まで持っていければ、裁判所も動かないわけにいかなくなるんじゃないの、とアドバイスする。

ーー後日、いつもの番組の飲み会後、岸本は改めて浅川に相談する。ダメもとで特集の企画書を出そうというのだ。浅川はかつての経験からその過酷さを警告するが
「…どうでもいいっす、とりあえずやるしかないっす」と岸本
「バカだね君」「私が特集でやった冤罪は脱税と横領と痴漢で刑期はせいぜい3年とかだった、死刑囚とかは扱えなかった怖くて」「覚悟できてる?失敗したらその人普通に死刑になるよ、それを受け止める覚悟、できてる?」
黙ってうなずく岸本を見て浅川も「わかった」と覚悟を決める。
国家権力という「闇」と、飲み込めない浅川の拒絶

岸本と浅川は企画書作りに没頭し完成したものをプロデューサー村井喬一(岡部たかし)に見せる。しかし村井は企画書を見るなり二人を怒鳴り散らす
「バカなの君たちは、それとも俺がバカにされてるの?お前らフライデーボンボンなんだと思ってる?いいか、フライデーボンボンはビジネスホテルの大浴場、牛丼屋の紅ショウガ、そしてぇ!パンチラ、なくてもいいけどあったら嬉しい、そんなもんだっていっつも言ってるだろ!」
「…でも誰かがやらない限りこの冤罪疑惑も連続殺人犯が野放しって可能性も、このまま闇に葬られてしまいます」 と浅川
「当たり前だよ、冤罪の調査報道なんかうちの報道がやるかよ」「お前なぁ、闇・闇・言ってっけど、じゃ闇って何だ?その奥に何がいんの?言えるか?言えねぇだろうがよ!いいんだよ闇にあるもんってぇのはな、それ相応の理由があってそこにあんだよ!」
岸本の頭をつかみ「あのな、岸本君、世間てのは自然界なの、ジャングルには虎がいるし、海にはサメがいて…同じように僕らが生きているこの世間にもいろんな怖い生き物が目に見えない縄張り張ってたりするんだよ、どこに何がいるかもわかってないようなガキがブンブン棒ぶりまわしたりしたら、大変な目に遭うって事!わかる?冤罪暴くって事は国家権力を敵に回すって事、わかる?」
「…はい…わかり…」 岸本がそういいかかけた時
「わかりません!私はもう…わかりたくありません、そういう理屈は!おかしいおのはおか…失礼します」 浅川は話している最中に激しい吐き気に襲われトイレに駆け込む。

ーーテレビ局の屋上、浅川と岸本
「私、やるからこのネタ、やるよね?」と浅川は岸本に確認するが、村井喬一(岡部たかし)の話に怖気づいた岸本の反応は鈍い。
そんな岸本を浅川は必死に鼓舞する「おかしいものはおかしいじゃん、おかしいと思うものを飲み込んじゃダメなんだよ、だって君が諦めたら松本さん死刑だよ?」
だが岸本はついに自身の本当の動機を白状する「すいません、そもそも僕、最初から松本さんはどうでもいいんです」 彼は篠山あさみを口説いた録音データを盾に、ヘアメイクのチェリー(大山さくら)から浅川にこのネタを持ちかけるよう脅されていたのだと告白する。
怒りに震える浅川は岸本を何度も叩き「私はもう飲み込めない、これ以上、飲みたくないものは、飲み込まない!でないともう死ぬし、私…」 そう言い残し浅川は立ち去った。
大山さくらの告白と「もうひとつの手のひら」、動き出す真実の歯車

ーー夜、会社の食堂、岸本は大山さくら(三浦透子)に、録音データをバラまいても構わない、これ以上は無理だと告げる。するとさくらは左手のサポーターを外し手のひらの傷跡を岸本に見せた。
「私、母親の内縁の夫に虐待されてたんですよ、こん時…これやられた時にとうとう家出たんですよ、そのおじさん、行くとこないならおじさんのトコ来てもいいよって言ってくれて…奥さんと子供を事故で亡くしたんだって、その子が私と同じ年だったんだって、その後しばらくおじさんの家に居させてもらってたんだけど…ある日突然警察が来て、おじさんが女の子を殺したって連れていかれた、あの時私さえなければおじさんは刑務所に入る事もなかったのに…私は諦めませんよ、またチャンス探せばいいんだし、今日までずっとそうしてきたんだし」
その話を聞いていた岸本は震えながら涙を流す。
しかし彼が泣いていたのは松本死刑囚のためではなかった。
(僕は僕が過去に見たもうひとつの手のひらの事を思い出したんだ。完璧な僕の完璧な人生の、その全てが偽物だと僕に告げるあの手のひら…僕は善人じゃない)

その時、行方不明だった中学二年生の少女が殺害され八頭尾山(はっとうびざん)の山中で見つかったというニュース速報が流れる。
「またやったんですよ」
テレビ画面を見つめながら大山さくらはつぶやいた。
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【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『エルピス―希望、あるいは災い―』/ 放送・配信:フジテレビ
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。

