- 失踪した英介を追うルナと涼子は、父のパソコンのパスワード解読に成功する
- 英介はルナの性別変更や作家活動をすでに知っており、親子は長年の確執を乗り越える
- ルナは涼子との旅をもとに『月夜行路』を書き上げ、トランスジェンダーであることを公表して「野宮ルナ」として歩み始める
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父・英介(石橋凌)が運ばれた病院に到着したルナ(波瑠)に対し、従兄の正義は、血圧が急上昇したものの現在は投薬により安定していると伝えた。また5日後に手術が控えているため英介はそのまま入院となった。
命に別状はないことを確認したルナは面会せずに帰宅しようとする。正義は引き留めたが「動揺させたくない」と、母・美里(石野真子)への伝言を託してその場を去った
第10(最終)話・あらすじ/ネタバレ
翌日、店を訪れた涼子(麻生久美子)に対し、ルナは父親の容体がひとまず落ち着いたことを伝える。
ルナは、小学生時代に父の部屋で見つけ、小説家を志すきっかけとなったカフカの本や、高校時代に小説家を志望していることを父に打ち明けた際「文学で人は救えない」と否定されたこと、医大生時代にペンネームで文学賞を受賞したものの、結局父に露呈し「明日からは切り替えて自分のやるべきことをやれ」と突き放された過去を明かした。

「それで医大をやめて家を出た、あそこまで否定されたら今の私のことなんてとてもじゃないけど打ち明けられない」(ルナ)
「もう、否定されたくない」(涼子)
「それもあるし、これ以上父の心を乱したくない」(ルナ)
「ありがとね話してくれて、この先ママがどんな選択をしても、私はママを応援するから」(涼子)
この時、ルナの母から電話が入り、父・英介が病院から姿を消したことが伝えられた
英介が残した「三鷹」の足跡
ルナと涼子は急ぎ病院へ向かった。
病院では母が英介から「今日一日だけ好きにさせてほしい」という電話を受けていた。
また、正義が午前中に面会した際「あと数日しか生きられないとしたら、君は何をする?私は食べたいものを食べて、行きたい所に行くな」と、英介と会話していたことを聞いたルナ。
「最低、お母さんに心配かけて、冗談じゃない!そもそも黙って抜け出すなんて、どれだけ病院に迷惑かけるか自分が一番よく分かってるはずでしょ、私が必ず探して連れ戻すから」(ルナ)
ルナは実家に行き英介の行きそうな場所を探すことにした。

ルナたちは実家に到着し、涼子が依頼した田村と小湊も合流して捜索を開始する。
ルナと涼子は書斎を捜索し、患者一人ひとりの名前の由来を記した大量のノートを発見した。
「おばさんから聞いた事ある、患者さんの名前を間違えないように、一人一人に名前の由来を聞いて覚えるようにしてたって」(正義)
「そういえば親父さんのモットーは”人を見ろ”だっけ?」(田村)
さらに書斎のカレンダーの19日に赤丸が付けられていることに涼子が気づく。そして小湊が「松井商店」や「武蔵野文庫」といった名称が記されたメモを発見。
ルナは、武蔵野文庫が太宰治ゆかりの地である三鷹にある喫茶店であると指摘。
涼子たちは6月19日が太宰をしのぶ『桜桃忌(おうとうき)』であることを踏まえ、英介が太宰治の墓参りを計画しているのではと予想したが、ルナは英介の性格からして「そんなことする人じゃない」と、否定する。だが正義が、英介は医学誌の連載エッセーで文学の魅力について熱く語っていると示す。
その時、田村の母親から1時間ほど前に中央線のホームで英介を見かけたという情報が入る。
中央線が三鷹方面へつながっているため、英介の目的地を三鷹と推測し、ルナたちは現地へ向かった。
英介発見と語られた一冊

三鷹へ移動した一行は手分けして聞き込みを開始したが、小湊はお店の予約対応のため離脱する。
その後、街で英介を見かけたという目撃情報を基に、ルナたちがパン屋付近を捜索したところ、近くを歩く英介の姿があった。
すっかり日が暮れ、休憩のためにベンチで足を止めたルナ、涼子、田村の3人は、それぞれ人生に影響を与えた本について語り合った。
ルナはアンデルセンの『絵のない絵本』の内容を涼子たちに説明する。
屋根裏に住む、孤独で貧しい画家の青年の元へ月が現れ、空から見てきた世界中の情景を語り聞かせます。パリ、ヴェネッツイア、インドなど、各地に生きる人々の悲しみや喜び、恋人たちの別れ、異国の風景や風習、月が届ける遠い世界の物語が、青年の心を癒し、静かに、しかし深く沁みわたるのでした
涼子はルナから聞いたアンデルセンの「To Travel is to Live(旅することは生きること)」という言葉が自身の人生の転機であったと述べ。
田村もまた、親の再婚で悩んでいた時期にルナに借りて読んだ織田作之助の『青春の逆説』が、大阪への関心や自身の変化のきっかけであったと明かした。
その時小湊からルナに「英介を発見した」という旨の連絡が入る。
最後に行きたかった場所
ルナらが病院に到着すると、小湊によって送り届けられた英介が、病室で眠りについていた。
英介がなぜルナたちの店「マーキームーン」を訪れたのか、ルナが母に確認しても誰も場所を教えた形跡はなかったが、バブリーは以前涼子を予約客と勘違いしたのと同様に、店の近くにいた英介を予約客と誤認して店内に招き入れていた。

英介は、店内で隣の客が写真を見ていたパフェについて盛り上がっていたところ、小湊がルナの父であることに気付いたのであった。
「スイーツトーク楽しかったなぁ」(バブリー)
「で、その後急に酔いが回ったみたいで、カウンターで眠り始めちゃって」(小湊)
「お父さんの言ってた、最後に行きたい場所ってルナさんの所だったんだね、手術の成功率が20パーセントって聞いた時、どう受け止めたらいいか分からなかった。でもお父さん覚悟決めたみたいだし、けど成功するって信じたいし。ずっと混乱してて、毎日が不安で」と母・美里が吐露すると、ルナは母の手を握り、これまで一人で抱え込ませていたことを詫びた。
ルナと母・美里に飲み物を持ってきた涼子、その時何かひらめきそうなルナの様子を察し、涼子はクロワッサンをルナに渡す。
クロワッサンを口にし、思考を巡らせるルナ
患者のノート、人を見ろ、数字、吾輩は猫である…
「つながった」(ルナ)
パスワード解読成功
ーールナのお店、英介のパソコンを前にするルナと涼子
ルナは『吾輩は猫である』の登場人物名を書き出し、名前に数字が含まれていることに着目した。
三毛子も猫として擬人化された登場人物の一人であり、初版刊行日や猫の没日など、本にまつわる数字ならわざわざ調べる必要があるが、登場人物なら本さえあれば解けるのが英介らしい発想だとルナは指摘する。
登場人物の登場順に数字を並べた「381038」というパスワードを試したが、違っており、残る入力回数はあと1回となってしまった。
ルナは解読を諦めかけるが、その時涼子がひらめいた
「本さえあれば解ける答え…もしかして!ママ、ラストチャンストライしていい?」
涼子は数値の冒頭に「5」を付け加えた「5381038」というパスワードを提案する。

ーー認証は成功し、パソコンが起動した!
「涼子、どこから「5」がでてきたの?」(ルナ)
「答えはすぐ目の前にあったよ。本のタイトルでもあり、登場人物でもある『吾輩』、五が入ってる」(涼子)
「凄い、涼子、天才!」(ルナ)
パソコンにはルナの小説タイトルが付けられたファイルが保存されており、そこにはルナの作品に対する英介の感想が記されていた。
「お父さん、ママの小説全部読んでたんだ」(涼子)
「おかえり」と言えた日
英介が書き溜めていたルナの作品への感想は、構成や完成度を評価しつつも「熱が伝わらない」「心理描写に物足りなさがある」といった極めて厳しい批評で埋め尽くされていた。
「はぁ~そこまで言う?」と思わずこぼすルナ

翌日、英介の病室前、涼子は近くのカフェで待ってるから、何かあったらいつでも来て、とルナを励ます。
ひとり、父・英介の病室に入ったルナ。英介は目を覚ましていた
英介は目を覚ましていた
「おはようございます」(ルナ)
「ああ、あぁ…」(英介)
「いつ知ったんですか?」
「相続手続きの準備でお前の戸籍を取り寄せた。つい最近の事だ。「野宮ルナ」という名前で検索したら、あの店と今のお前のプロフィールが出てきた。相変わらず細っこいな、ご飯はちゃんと食べてんのか?もういい年なんだからちゃんと健康の事も考えろ」
ルナはパソコンのファイルを読んだことを伝え
「作品の感想、全て読みました、辛辣過ぎてめまいがしました、でもがぜんやる気が出ました、だからあなたに褒めてもらえる前に、いなくなられたら困るんです。褒めてもらえなくても、嫌われても、あなたにこの世界にいて欲しいです」と、本音をぶつけた
英介に「ルナ」という名前の由来を問われ
英介から誕生日に贈られた『絵のない絵本』の「月」のように、誰かの道を照らす存在になりたかったことだと明かす。
「そうか、いい名前だ」

「お父さん。私も、この世界にいてもいいですか?」
「当たり前だ、おかえり」
と、英介はルナの頭を撫でた
手術中の英介を待つ間、ルナは英介が寄稿していたエッセイを目にしていた
最近、考えを改めた事がある。文学が人を救えないというのは誤りだった。
引用元:TBS
死を意識した時、医療にも法律にも限界がある事を悟った。
それらが及ばない領域にこそ、文学の力は発揮される。そのことに気づいてから、時代を超え愛される文豪たちに、深い尊敬の念を抱くようになった。
先日は「桜桃忌(おうとうき)」に先駆けて三鷹の禅林寺に行った。
太宰の墓の向かい側には森鴎外の墓もあり、その墓石には森林太郎と書かれている。
鴎外は文豪でも軍医でもなく、ただの一人の人間としての名を刻みたいと望んだという。
彼のように誰もが”吾輩が吾輩である”と胸を張ればいいのだ。あなたはあなたであれ。

英介の手術は無事成功した。ルナは退院祝いの花束と共に
「メッセージを本の中に隠しました。ヒントは“最後の景色”です」というカードを贈る
この本の中にヒントが隠されてるんですって、と美里から渡されたルナの新刊『月夜行路』を手に取った英介は、笑みをこぼした。
その本の作者名は「重原壮助」ではなく「野宮ルナ」となっていた。
『月夜行路』発表
ルナの新刊発表の準備が進む中、編集担当者と菊雄(田中直樹)が新刊についての話をしていた
「いいタイトルに決まって、良かったです」(編集担当者)
「元になった、志賀直哉の『暗夜行路(あんやこうろ)』も、最初は違うタイトルだったらしいよ。志賀直哉も父親との和解を経てあのタイトルに変更したそうだ」(菊雄)
「よかったんですかね、重原壮助の名前捨てちゃって」(編集担当者)
「いいと思うよ、こっからまた始まるんだ」(菊雄)
登壇の準備を整える控室、涼子が島崎藤村が愛した新杵(しんきね)の「西行まんじゅう」を差し入れとして届けた。
ルナが控室で見ていたネットニュースには、重原壮助がトランスジェンダーであることを公表し、今後は野宮ルナとして活動する記事があった。

華やかな記者会見の場、やがて始まったルナのスピーチ
只今ご紹介にあずかりました野宮ルナです。
引用元:TBS
私は文学が好きです、いつも物語に救われてきました。
生きていると、悲しいこと、理不尽なことがたくさんあります。
誰かの言葉に傷ついたり、理解されずに苦しんだり。
でも文学は教えてくれました、誰の人生にも等しく価値があると。私は私のままここにいていい。
だれもがそう胸を張って生きて欲しい。この作品がその道しるべになれたら幸いです。
最後に、この作品を書けたのは共に旅をした友人のお陰です。
彼女がいたから私も前を向くことができました。この場でお礼を言わせてください。
涼子、出会ってくれてありがとう
ルナのスピーチを見守る涼子
(お礼を言うのは私の方だ。ルナ、私の人生を照らしてくれてありがとう)涼子
しかし、祝祭の空気は直後に中断される。
書店に並んでいたはずのルナの新刊のサイン本が全て消失する事件が発生した。
ルナと涼子たちが書店に駆けつけると、サイン本が置かれていた場所の近くには、逆さに置かれた重原壮助名義の本、棚の端に2つの将棋の駒、そして古典文学フェアのポスターが掲示されていた。
涼子はいつものように、ルナに甘いもの(西行まんじゅう)を渡す
西行まんじゅうを口にし、思考を巡らせるルナ
「つながりました。涼子、行きましょう」
ルナと涼子は、店を後に歩き出した

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【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『月夜行路』/ 放送・配信:日テレ
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。




