- 丸菱商事社員の乃木憂助は1億ドルの誤送金問題を解決するため、バルカ共和国へ向かうが、謎のテロ組織のメンバー・ザイールの自爆テロに巻き込まれる
- 自爆テロの犯人として、バルカ警察に追われる身となった乃木は、公安の野崎やドラム、医師の薫らと逃走劇を繰り広げ、辛くも日本大使館へ逃げ込む
- ザイールは自爆直前、乃木に「お前ヴィヴァンか?」と問いかけていた。その謎の言葉「ヴィヴァン」について、正体や真意を理解できる者は誰もいなかった
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広大な砂漠を一人歩く乃木憂助(堺雅人)、乃木の傍らでは別の声『F』が乃木を叱責する。
「天照大御神、イエス・キリスト、アブラハムアラーよ、誰でもいい助けてくれ、俺はこんなところで死にたくねぇ、って全部お前がアホだからだ!写真なんか見てボーッとしやがって!大体何であんなタクシーなんか乗ったんだよ!」(F)
「うるさい…黙っててくれ…」(乃木)
やがて乃木は力尽きて膝をつき、倒れ込んだ。
Fは乃木を励まし、所持している携帯電話の電源を入れ、ライトを点灯させて救助の合図を送るよう指示する。
乃木はその声に従おうと携帯電話を取り出したが、そのまま砂漠の斜面を転げ落ちていった。
第1話・あらすじ/ネタバレ
ーー数日前
乃木は1億ドルという巨額の送金ミスが発覚した現場にいた。
送金先のGFL社に何度も連絡を試みているが返信がない状況に、乃木の上司・宇佐美は同社との取引自体を危惧する。
その話をそばで聞いていた乃木の同僚の山本巧(迫田孝也)が、事態の収拾を図るために、情報の整理を申し出るが、宇佐美はこれを自分達2課の問題として山本の介入を拒否する。
しかし山本はエネルギー事業部全体の問題であると主張。1年前からGFL社と取引を行い、同社を信頼できると評価していた乃木に対して意見を求める。
1億ドル誤送金の発生
乃木の所属する丸菱商事のエネルギー開発事業部第2課は、中央アジア・バルカ共和国にて現地企業GFL社との太陽エネルギープラント事業を推進していた。
このプロジェクトを担当する第2課長の乃木と部下の水上は、昨日、契約金として1,000万ドル(約14億円)を振り込む手続きを行った。
しかし、その金額が誤って10倍の1億ドル(約140億円)送金されていたことが発覚した。
宇佐美は乃木に対し、送金額の確認を怠ったのではないかと追及する。
乃木は額面が1,000万ドルであったことを二度確認したと主張するが、原因は特定できない。
その議論の最中、原経理部長と財務の太田梨歩(飯沼愛)がやって来た。
太田は2月10日13時45分に送金処理を行ったと説明する。
提示された海外送金申請確認フォームと稟議書には、いずれも「1億ドル」と記載されていた。
1,000万ドルの稟議書に押印したと記憶している水上と宇佐美は、書類が偽物であると主張するが、原経理部長は、送られてきた書類に基づき、両者の金額が一致していたため送金を実行したまでだと説明した。
山本は送金処理の正誤よりも、送金された1億ドルの確保が先決であると指摘。
太田の報告により、1億ドルは既にGFL社の口座へ振り込まれていることが判明していた。
乃木は、即座にGFL社の担当者であるアリ・カーン(山中崇)へ連絡をするが、携帯の電源が入っていない。
本日はGFL社の創立記念日で休日あること、さらに土日を挟むため、連絡が取れるのは3日後になると乃木は推測した。
「3日後?そんな悠長に構えてる時間はねえんだよ!」と宇佐美は憤った。
バルカ行きを決断する乃木
宇佐美、乃木、水上の3名は長野専務(小日向文世)のもとへ報告に向かう。
長野は経理部に送られた時点で既に金額が1億ドルに書き換わっていたことを指摘。
原因として人為的な改ざんか、システム異常が考えられるが、宇佐美はシステム管理部が既にチェックを開始していると報告した。
長野は決算まで1か月、このままでは2課だけで約126億円の損失が発生する、仮にシステムエラーであれば免責されるが、人為的な問題であれば相応の責任を負うことになると警告した。
「何としても対処致します!」(宇佐美)
「そうしてもらわなきゃ困るんだよ、もし金を取り戻せなければ…君らはおしまいだ」(長野専務)
「おい、どんな手を使ってもいい、1か月以内に9000万ドル取り戻せ。乃木!」(宇佐美)
「バルカ行ってきます…」と乃木は絞り出すように答えた。
GFL社・アリ
バルカ共和国の首都クーダンへ到着した乃木は、GFL社を訪問した。
受付で待機していた乃木のもとへ、社長のアリが出社する。
乃木は社用携帯が会社にあり連絡が取れなかったことを詫びるアリに対し、送金額の誤りについて説明した。乃木が当初の契約額である1,000万ドルの契約書を提示し、なぜ10倍もの金額の送金に対して問い合わせをしなかったのかを問うと、アリはそれを丸菱商事による先行投資だと認識し、喜んでいたと回答する。
乃木は誤送金された9,000万ドルの返金を求めて頭を下げるが、アリは既に下請け企業へ送金してしまっていた。
送金はバルカ国際銀行経由であったため、乃木はアリにバルカ国際銀行へ直ちに向かうようお願いする。
バルカ国際銀行から出てきたアリは、送金した資金は既に相手先の口座へ移動済みとの銀行からの回答で、返金は困難であると乃木に伝える。
9,000万ドルは10社以上に分割して送金されていたため、乃木は自ら各社へ交渉に向かうため社名を尋ねるが、アリは取引先の守秘義務を理由に開示を拒否、返金依頼は自社で行うと告げその場を去った。
浮上する乃木の関与疑惑
丸菱商事の監査部による調査の結果、今回の送金ミスにシステム上のエラーは認められず、人為的な操作によるものと判断された。
監査部が全社員の端末を調査した結果、問題となった申請は水上の端末から行われたことが特定された。

システム管理部の河合は当時の社内映像を提示する。
映像には、水上が宇佐美に呼ばれて席を外した際、乃木がパソコンに向かう様子が記録されていた。
経理部に1億ドルの申請が届いた時刻と、乃木が操作していた時刻が一致していたことから、乃木に疑いの目が向けられる。
電話を通じて乃木は、水上が宇佐美に呼ばれたため代行で申請ボタンを押しただけであり、金額の入力には一切関与していないと主張。
「残念ながら映像にはパソコンの画面までは映っていない」(山本)
「そんな…」(乃木)
「分かってるよ、お前がそんなことするはずないって、同期のこの俺が一番分かってる。だけどなぁ、いいか怒るなよ、お前は同期の昇進レースではビリッけつ、だからここで出世を諦め金に走ったんじゃないかって」
「ど…どういう意味?」
「だから!アリと手を組んでこの誤送金をたくらんだって噂があんだよ、キックバック1割としても手元に1千万ドル、約14億円入る。うちの生涯年収が約6億だから2倍以上の金だ」
山本はさらに、このままでは乃木が犯人として懲戒解雇される可能性が高いと忠告した。
窮地を脱するためには9,000万ドルを取り戻すしかないと諭された乃木は、改めて返金に向け全力を尽くすことを誓う。
窮地の中の救世主「F」
ホテルのベッドで乃木は窮状を打開する策を思案していた。
そこに「F」が現れ、アメリカの知人に依頼するよう助言する。

当初はためらう乃木であったが、会社を解雇される事態を避けるため、意を決して知人のサムへ電話をかけた。
乃木からの相談に対し、サムはバルカ周辺を調査中だったため、ついでだと調査を快諾した。
サムは「詳細な情報を(自分に)メールしろ。また連絡する」と伝え、通話を終えた。
通話終了後、乃木の前からFの姿は消えていた。
ーーサムはCIAエージェントである
親友の助言と警告
サムから乃木へ調査結果の報告が入る。
サムによれば、GFL社のアリが説明した「10社以上への分割送金」という事実は虚偽であり、実際には1社への送金のみであった。
「じゃあ、その会社に…」(乃木)
「いや、喜ぶのはまだ早い。お前が銀行から出た後、トラックに大量の荷物が運ばれている」(サム)
「トラック? まさか、9千万ドルを現金にして運んだのか? まずいぞ、それこそもう追えない! そのトラックはどこに?」
しかし、銀行から出たトラックに積まれた大量の荷物は、そのサスペンションが沈んでいない様子から、サムはダミーの可能性が高いと指摘した。
サムはハッキングにより入手した銀行頭取室の映像を乃木に送る。
映像には、頭取がある男にダイヤモンドを渡す様子が記録されており、1億ドルは全額ダイヤに換えられたことが判明、男は『アマン建設会社』と書類にサインをしていた。サムは、資金洗浄を思わせるこの手口はテロリスト特有の動きであると警告し、乃木に深入りしないよう助言する。
しかし、金を取り戻す必要に迫られている乃木は、引き続き詳細を尋ねた。
サムは顔認証システムにより、その男は『ザイール』という人物であることを特定、さらに居場所がセドルであることを突き止める。
サムは、セドルには1人で向かうべきではないと忠告する
「証拠は君が押さえてくれたから、後は地元の…」(乃木)
「そこの警察はそう簡単には動かない」(サム)
「1人1万ドルくらいか?」
「バルカ共和国の平均年収だ、十分だろう。それから俺がバルカ共和国を張ってたのは、得体のしれない組織を追っていたからだ。不気味な組織で、誰がリーダーで目的は何か全く掴めていない」
「それが今回の件と関係が?」
「だから何もわからないんだ、何が起きてもおかしくない国だ、気をつけろよ」
「いろいろありがとうサム」
「俺にはこれくらいしかできない、たった一人の親友のためならお安い御用だ」
荒野での遭難と奇跡の救助
乃木はセドルへタクシーで向かった、途中、運転手が用を足すために車を止めた際、長旅になるからと乃木にも声をかけた。
すると乃木がバッグを車内に置いたまま車外へ出て用を足していた隙に、運転手は車ごと逃走、乃木は電波も届かない荒野に取り残されてしまい、徒歩での移動を余儀なくされる。
目的地まで約50キロの距離を、GPSを頼りに徒歩で目指すこととなった乃木は過酷な環境下を歩き続けるが、やがて力尽き坂から転げ落ち、動けなくなる。
その夜、近くを通りかかったアディエルとその娘ジャミーン。
ジャミーンが遠くに乃木が光らせていた携帯のライトに気付き、乃木は救助された。
乃木は、医師である柚木薫(二階堂ふみ)の処置を受けて意識を取り戻した。
アディエルによると、ジャミーンは2年前に目の前で母親を亡くして以来、言葉を発することができなくなっていた。
乃木がセドルへ向かう予定であることを話すと、アディエルは案内を申し出てくれた。
その時、パン作りで失敗が続いていたジャミーンが、小麦粉を計量している様子に乃木が注目する。
パンがうまく焼けない原因は、計量器の不具合であると疑った乃木は、自身の特技である「手での重量計測」を用いて分量を調整した。
乃木の調整により無事にパンが焼き上がり、ジャミーンは満面の笑みを見せる。
ザイールとの対面
翌日、乃木はアディエルにセドルまで送ってもらう。
別れ際、ジャミーンは乃木に笑顔を見せ、乃木も彼女を抱きかかえて応えた。
「薫以外の人間にこんな笑顔は久しぶりだ」(アディエル)
「薫?」(乃木)
「ジャミーンの主治医だ、お前も彼女が助けた」(アディエル)
ああ、と、乃木は倒れていた時のうっすらとした記憶の中で薫の声を思い出す
「この子は人間の善悪を直観的に見抜けるのかもな。ここでお別れだ」(アディエル)
乃木は地元警察に賄賂を渡し、警察官を同行させアマン建設を訪れる。
警察はアマン建設従業員に「こちらのビジネスマンが、ザイールってヤツに会いに日本から来た、すぐ会えるよう手配しろ」と、命じた。
通された、暗いゲル(*モンゴル高原に住む遊牧民が使用している伝統的な移動式住居のこと)で、乃木はザイールと対面し、誤送金された9,000万ドルがGFL社を経て貴社へ流れていることを説明、返金を求めた。
ザイールは金の存在を否定するが、乃木は銀行でダイヤを受け取るザイールの証拠映像を差し出した。
「証拠は揃ってるんだろ、おとなしくこいつに9千万ドル返せ!」と、警察がザイールに対し返金を迫ると、ザイールは「どうせお前ら、分け前欲しさについてきたんだろ?金で釣られる間抜けな警察だ」嘲笑した。
警察官が重ねて返金を命じた直後、ザイールはその警察官に向かって発砲した。
謎の言葉「ヴィヴァン」
ザイールと警察官らは銃口を向け合い、にらみ合いになる、
ザイールは乃木に「どうやってここを見つけた、ここまで来た奴はお前が初めてだ、おい日本人、お前ヴィヴァンか?」と問い詰める。

乃木がその言葉『ヴィヴァン』の意味を理解できずにいると、ザイールは「ここから先は進めない、俺の運命と共にお前も終わる」と、上着を脱いで自身の体に巻き付けた爆弾を見せつけた。
「家族を守るためにはこうするしかない、ジタバタするな、今から逃げても爆風でやられる。俺を撃ってもこのスイッチくらい押せる、どっちにしろ全員死ぬ、全てはお前のせいだ」と、ザイールは乃木を指さした。
両手を大きく広げ、ザイールがスイッチを押そうとした瞬間、何者かがザイールの手を撃ち抜き、スイッチが地面へ落下。その直後、乃木の前に現れた野崎守(阿部寛)が、乃木を抱えて建物の外へ走り出した。
ゲル内ではザイールと警察官とで揉み合いになり、スイッチが押され爆発が発生する。
野崎と乃木は、爆風を避けるためにゲルの外にあった穴へと飛び込んでいたが、アマン建設入口の前で乃木を見守っていたアディエルとジャミーンも巻き込まれてしまう。
公安の男
乃木は薫が勤務する病院へ搬送された。
同じ頃、重傷を負ったアディエルとジャミーンも搬送される。爆発の際、ジャミーンをかばって重傷を負ったアディエルは「娘を…ジャミーンを頼む」と、薫に懇願した。
乃木が病院の2階で意識を取り戻すと、野崎が顔を覗き込んでいた。野崎は身元を尋ねるが、乃木の傷を見て「こりゃ処置しないとまずいな」とつぶやいた。
その時、バルカ警察のチンギスが部下を引き連れて病院へ乗り込んできた。
チンギスは、運び込まれた日本人を引き渡すよう病院スタッフに命じるが、医師が許可がないと拒否すると、チンギスは「許可?馬鹿か?ここはバルカだ、俺が法律だ!」と怒鳴りつけた。
薫による緊急手術の甲斐なく、アディエルは死亡した。
1階で医師と押し問答を続けていたチンギスに対し、乃木が爆破の犯人と思った薫は乃木が2階にいることを伝え、薫がチンギスを病室へ案内したが、そこに乃木の姿はなかった。
ーー乃木は野崎によって病院の倉庫へ運び込まれ、応急処置を受けていた。
乃木は自らの潔白を主張するが、野崎は現地警察が今回の爆破事件の犯人を早急に必要としている状況であり、バルカでは事実よりも警察の体裁が優先されると話す。
野崎は乃木を逃亡させることを条件に、自身の問いに応じるよう求めた。
その後、野崎は病棟内で薫が騒がないよう、背後から抱きかかえるようにして口を塞ぐと、乃木が爆破犯ではないことを伝えた上で協力を要請する。
野崎は薫に乃木の傷の治療と、警察の注意を西棟へ逸らす工作を指示する。
薫は倉庫で乃木の治療を行い、痛み止めと抗生物質を渡す。
野崎と乃木が病院の外へ脱出しようとした矢先、待ち構えていたチンギスと警官隊に包囲されてしまう。
ーー薫は乃木たちを警察に密告していたのである。
「あの爆発で生き残ってんのはあんたたちだけなんでしょ、あんたたちがやってるに決まってる。ホントに無実なら堂々と警察に話せばいい」(薫)
「こいつらがまともに話聞くわけねえだろ、このバカ女!」(野崎)
だが病棟で野崎と話している所を警察に見られていた薫も仲間とみなされ、野崎、乃木と共に警察に連行される。
窮地を脱した奇跡の脱走劇
警察に連行されている車中、野崎は突如として笑い出した。
困惑する警察官たちを尻目に、警察官に扮していた運転席のドラムが助手席の警官を制圧し、車から突き落とす。
異変に気付いたチンギスたちが追跡しようとするも、ドラムにより細工されていた車は動かず、銃撃をかいくぐって野崎たちは逃走に成功した。
「あのすいません…この方は?」(乃木)
「安心しろ、俺の仲間だ。言葉はしゃべれねえが日本語は理解できる」と、ドラムが音声読み上げソフトで乃木に挨拶した
「私はドラムです、よろしくね」(ドラム)
車は銃撃を受けたためガソリン漏れし、野崎は車を停めて修理する。
「野崎さん、ガソリン15リットルくらいしか残ってないよ、100キロ走ったらおしまいね」(ドラムの携帯音声)
「よし、プランBだ(野崎)」と出発した4人
乃木は野崎たちの素性を問い、名刺を受け取る。
野崎の正体は警視庁公安部外事第4課の警視であった。薫も乃木が丸菱商事勤務のエリート、野崎が公安だと知り、やっとのことで2人が爆弾犯ではないと理解した。
「すいません、僕をこっちの警察に渡さないとか、聞きたいことがあるとか、ザイールの自爆とか。もしかして僕は何か大きな事件に巻き込まれた、重要参考人になってしまったってことですか?教えてください!」(乃木)
「お前は世界中を巻き込む大きな渦に入り込んだ。日本警察はお前を責任持って保護してやる。お前のためじゃない、日本国のためだ」(野崎)
「どういう意味ですか?」(乃木)
「そいつがいるから言えねぇ!」(野崎)
薫の「私口堅いです」という言葉に「あっそ」と、野崎は笑った。
敵の裏をかく首都への帰還
乃木一行は、バルカ共和国の中でも少数派であるイスラム教徒が暮らす地域に到着した。
野崎は一般人の目が行き届きにくく、追っ手から身を隠すには最適の場所だとし、一行をモスクの隠れ家へと導いた。
病院へ戻ることを強く望む薫に対し、野崎はそれを一蹴する。戻れば警察に捕まり、尋問の末に自分たちの居場所を白状させられることが目に見えているからだ。
野崎は広げた地図を指し示し、今後の戦略を明かした。
警察は彼らがカザフ国境を目指すと予測し、すでにそのルートを封鎖している、その裏をかき、逆方向である首都クーダンへ戻るという大胆な計画であった。
「今俺たちにとって、この国で唯一安全な場所といったら…」(野崎)
「日本大使館」(薫)
「そのとおりだ」(野崎)
その後の会話で、乃木は、砂漠で倒れていた自分を救った医師が薫であったこと、アディエルが爆発で亡くなっていたことを知る
銅鑼の音が招いた奇策
モスクに潜伏していた野崎たちだったが、住民の密告によりチンギス率いる警察隊の急襲を受ける。
しかし、彼らは一足先に脱出していた。ドラムが手配した囮の車両で警察の目を逸らしている間に、野崎、乃木、薫の3人は馬に乗り換え、首都クーダンを目指した。
クーダンの入り口は厳重な検問が敷かれ、さらには10万ドルもの懸賞金が懸けられた指名手配犯として、野崎たちには莫大な追跡網が張り巡らされていた。
「単なる爆破犯じゃここまでしない、あちらさんも同じ理由でお前さんを確保したいんだろ」(野崎)
「世界中を巻き込む大きな渦ってやつですか?」(薫)
「あの、その大きな渦って一体何なんですか?いい加減教えてもらえませんか?」(乃木)
「大使館に無事着いたらな、ここからお前をかけての、バルカ・日本、両警察の戦いになる」(野崎)
野崎は遊牧民の群れに紛れることで検問を突破するという作戦を立てた。
「バルカの決まり、遊牧民はどこを通ってもおとがめなしね、あの人たちスマホ持ってないよ。指名手配のことも知らないよ」(ドラムの携帯音声)
日本大使館内にいる野崎の部下・新庄(竜星涼)から「大使館正門はバリケードで封鎖されており、近づくのは危険」という報告を受けた野崎は、あえてチンギスが待つ遊牧民ゲートへと突き進んだ。
チンギスに向かってわざと顔を見せる野崎。チンギスは彼らを見つけ、銃を向けたその瞬間、ドラムが打ち鳴らした銅鑼(どら)の音に羊の群れがパニックを起こし、ゲートへとなだれ込む。
羊の群れと巻き起こる砂埃に翻弄されたチンギスたちは、パトカーで追跡すれば家畜を轢いてしまうという状況も重なり、撃つことも追うこともできなくなった。
野崎がなぜ自ら見つかるような行動を取ったのか、薫が不思議に思って尋ねると、野崎は「今にわかる」とだけ答えた。
大使館前での攻防
クーダン市内は公共交通機関がバスに限られているため、車で溢れかえる世界有数の「渋滞天国」である。
当然、市内へ車で進入するのは極めて危険だとドラムは忠告する。
乃木がバイクを提案するが、それも狙撃の標的になるだけだと野崎は却下した。
「このまま馬で行く」(野崎)
「馬で?クーダンの街中を?」(乃木)
「余計目立つし、馬が危ないしかわいそうです」(薫)
「かわいそう…そうか、それはいい手かもしれませんね。食べる以外に動物を傷つけてはいけない、モンゴル系住民の多いクーダンではそうした仏教の教えが根付いています。警察といえども馬に当たる可能性があるなら発砲してこないかも」(乃木)
「そのとおりだ」(野崎
日本大使館の前は200メートル手前から厳重なバリケードが張られていた。野崎は新庄に「そこにいればわかる、合図したら門を開けろ」と指示を出した。
一方、ドラムは警察が敷いたバリケードを強行突破するための「鉄板で装甲したダンプカー」の準備をしていた。
乃木はようやく野崎の狙いを理解する。
先ほどあえてチンギスに顔を見せたのは、警察に情報を掴ませて一般車両を退避させるためだった。
警察がわざわざ正面の道を空けてくれたことで、障害物を排除した突入ルートが完成したのだ。
「これで突っ込める。一歩でも大使館に入ったら俺たちの勝ちだ」(野崎)
野崎は「しっかりつかまってろ!」と叫び、装甲を施したダンプカーのアクセルを全開に踏む。
警察のパトカーを次々とはね飛ばし、バリケードを強行突破して大使館へと突き進む。
正面から待ち構えていたチンギスたちが激しい銃撃を浴びせる中、大使館の一歩手前でトラックが動かなくなった。
野崎、薫、乃木、ドラムはトラックを捨て、大使館の門へと必死に走り込む。
最後に飛び込んだ乃木だったが、追ってきたチンギスに足を掴まれ、大使館の外へ引きずり出されそうになる。そこへドラムが乃木の手を掴み、大使館側とチンギス側の間で激しい引っ張り合いとなった。
日本大使館の警備員たちがバルカの警官たちに一斉に銃を向け、にらみ合いとなった瞬間、チンギスを引っ張っていた警察の手が一瞬緩み、乃木は無事に大使館内へと引きずり込まれた。そして乃木の足にしがみついていたチンギスも、一緒に引きずられるまま日本大使館の敷地内へと雪崩れ込む
「お前どこで寝てんだ?ここは我が領土、日本国だ。治外法権が適用される、出ていけ!」(野崎)
チンギスがしぶしぶ大使館の境界線を跨いで外へ出ると、大使館の扉は閉められた
ヴィヴァンの謎
大使館へ逃げ込んだ野崎たち、乃木はようやく腰を据えて「世界を巻き込む渦」の正体について野崎に問う。
「それは俺の質問に答えてからだ、まずはザイール、俺たち公安でさえ居場所を突き止めるのに長い時間を要した。なのにどうやって突き止めた?」(野崎)
「それは…」(乃木)
「クーダンイーストホテル707号室で電話してた相手に聞いたんだろ?お前がバルカ国際銀行の脇道で電話をしていた時、ドラムがお前のカバンに盗聴器を仕掛けた。タクシーの親父から取り戻してやったぞ」と、ドラムが乃木のカバンを持ってきた。盗聴器にはGPSがついていたため、回収できていたのだ。
乃木は、自分がザイールと接触を図っていたことで、公安に仲間だと疑われていたことを知る。
「だが、盗聴してお前がそうじゃないことはすぐにわかった、しかしお前は普通じゃない。誰もいない部屋でブツブツ独り言をつぶやいたかと思えば、たった一本の電話でザイールまでたどり着いた。お前一体何なんだ?」(野崎)
「えっ何なんだ、言われましても…あのザイールって人こそ何なんですか?野崎さんはどうしてザイールをマークしていたんですか?ザイールのこと教えてください、何としてもお金を取り戻さないと」
「なら特別に教えてやろう、だからお前も協力しろ。奴は新手のテロ組織の一員だ、それも幹部の一人と言われている」
「組織を巻き込む大きな渦とはその組織のことなんですね?」
「そうだ、さあ教えろ、電話の相手は誰なんだ?」
乃木は電話の相手が高校時代からの親友であり、CIAに所属していることを告白した。CIAも周辺の情報を集めており、利害が一致したのだという。
「もう一つ聞く。アマン建設のゲルでザイールが自爆する直前、お前に小声で何か言ったはずだ。『お前はビーパンなのか?』と」
乃木はその言葉は「ヴィヴァン(Vivant)」ではないかと訂正する。
「パンじゃなくてヴァンか」(野崎)
「ええたぶんヴィヴァンかと」(乃木)
「ヴィヴァン?それは何だ?この国の何かか?」
「僕にもわからないんですよ、違うと言ったのに聞いてもらえなくて」
薫がその場に加わり、フランス語の「Vivant」には「生き生きとした」「活気のある」という意味があると助言した。
「ザイールはお前を活気のある賑やかな男と思って自爆したって言うのか?ザイールになったつもりで考えてみろ。あの時、ザイールはお前を『ヴィヴァン』だと確信してそして観念した、だから自分の命と引き換えにしてもお前を殺そうとした」(野崎)
「そんな思い違いされても…」(乃木)
「ヴィヴァン、必ず違う意味がある」(野崎)
ーー草原を見つめるベキ(役所広司)とノコル(二宮和也)
「父さん、悲しい知らせがあります。アディエルがあの爆破事故に巻き込まれて亡くなりました」(ノコル)
「ジャミーンは?」(ベキ)
「大丈夫です、怪我をして今は病院に」(ノコル)
「また1人にさせてしまったな、退院後は我々で面倒を見る。悲しいことばかり起こるな、この大地は」(ベキ)
【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『VIVANT・第1シーズン』/ 放送・配信:TBS
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。




