- 野崎が別班員5人をシンシーに差し出したのは、自殺したと思われていた核融合技術の開発者が生きている可能性を含め、核融合技術の真相を確かめるためにシンシーへ潜入し、別班員が生きていられると想定した2カ月以内に決着をつける計画からであった
- 5年前に死んだと思われていた劉銘軒は実はシンシーの工作員であり、野崎の前に姿を現した
- 乃木は野崎の「π」の暗号から囚われた別班員の居場所(シャキ城)を突き止めるが、劉によって野崎の暗号とシンシーに潜入した真の目的が暴かれていく
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ーーゴルバド共和国・ルモー
ルノーテクノマテリアルの玄関前にトラックが到着し、樊(ハン・宮下今日子)は野崎(阿部寛)に、トラックで移動するよう話す。
「俺に本部の場所を知られたくないってことか?」(野崎)
「その逆、このところ私に変な尾行がつくようになったのよ」(樊)
樊と野崎はトラックの荷台に乗り込み、その場を後にした。
第16話(第2シーズン第6話)あらすじ/ネタバレ
ーー旧大本営地下壕『別班』特別会議室、尋問を受けている佐野公安部長(坂東彌十郎)
佐野によると、5年前、北京に駐在していた野崎は、北朝鮮に対する諜報活動に従事していた。その頃、野崎のもとで動いていたのが張競士(チョウ・ケイシ/高橋光臣)と劉銘軒(リュウ・ミンシュエン)で、3人は大使館勤務を通じて深い関係を築いていたという。
劉銘軒の名前を聞いた乃木(堺雅人)は、かつて野崎から「自分と驚くほどよく似ている人物」だと聞かされていたことを思い出す。
佐野によれば、乃木と劉銘軒は信じられないほど似ており、今回の一連の事件もこの3人の間にあった人間関係や複雑なしがらみが発端になっていた。
野崎に向けられた劉の想い
ーー2018年、北京
日本の諜報機関では『別班』が裏の存在であるのに対し、『公安』は表の組織である。
その公安の中でも、野崎は実績・能力ともに群を抜いた存在で、そんな野崎の北京への赴任は中国側の諜報機関にとっても警戒すべき出来事であり、野崎には東側の工作員たちによる厳しい監視が張り付いていた。
「これはあんたらには釈迦に説法だが、歴史の古い国の諜報員ほどどこに潜んでいるか分からない。完璧に市民に溶け込んでいる。乃木君、君もそう感じているはずだ(佐野)
「はい、常に感じております」(乃木)
「野崎がエージェントの劉と張に会うのも一苦労だった。会っている所を目撃されたらそのエージェントの価値は半減する。ゆえにミーティングなどは毎回違う場所で行われる。それもギリギリまで場所は決定しない決まりだ」(佐野)
ーー監視の目を交わして劉の待つ部屋に向かった野崎
劉は北京に北朝鮮の朴高官が来ていることを野崎に報告し、野崎から労いの言葉をかけられていた。
「異国の地という非日常、毎回このような密室でのミーティング、それが劉ミンシュエンの気持ちをいやおうなしに沸き立たせたんだろう」(佐野)
「それはどういう意味ですことか?」(櫻井)
「そういうことなんだよ」(佐野)
「劉銘軒(リュウ・ミンシェン)はゲイであったという事ですか?」(乃木)
「そうだ、劉は野崎を愛していた」(佐野)

ーー仕事をしている野崎を見つめる劉
「劉」(野崎)
「すみませんどうしても見てしまうんです」(劉)
「お前の思いには応えられんぞ、天地がひっくり返ってもな」
「いいんです、見返りを求めているわけではありませんから」
無謀な潜入
劉と張はともに日本生まれ、日本育ちで、野崎の前任者が身辺を徹底的に調べたうえで採用したエージェントだった。
しかし野崎は張に中国側の諜報員として動いている可能性を感じ取り、証拠こそなかったものの、独自の勘から警戒を続けていた。
そのため重要な情報は劉にだけ伝えるようになり、劉は自分だけが野崎から信頼されていることに強い使命感を抱くようになる、佐野はそれが次第に野崎への愛情へと変わっていったのではないかと推測する。
劉が亡くなったことを野崎から聞いていた乃木は、その死が野崎にとって唯一の失敗だったと語っていたことを思い出す。
佐野は劉の死に至る経緯を明かし始める。
劉は北朝鮮の弾道ミサイル開発を指揮する責任者が北京に入るという情報をつかみ、その動向を追っていた。
ーー北京・憲法招待所の向かいのビルの屋上から野崎に電話を入れる劉
北朝鮮の責任者が憲法招待所に入ったとの情報を得た劉は、これは中国とのすり合わせのためであり、潜入すれば今後の発射スケジュールを把握できると判断、日本の防衛にとって極めて重要な情報になると野崎に報告し、自ら潜入する計画を説明するが、野崎は危険すぎるとして即座に中止を命じる。
「気持ちはわかる、だが相手を軽んじ己を過信するな。これは諜報の鉄則だ。撤退しろ、命令だ」(野崎)
劉は「わかりました」と電話を切った。
「劉は野崎のために手柄を立てていけば、いつか野崎も自分を受け入れてくれると信じていたようだ。そして野崎の制止を振り切り潜入を実行した。だが劉は行方不明となり、1週間後私は北京へ飛んだ」(佐野)
ーー北京、日本大使館
佐野は北朝鮮から外務省に送られてきた画像を野崎に見せた、そこには拷問を受けた末に拘束された劉の姿が映っていた。
北朝鮮は劉の解放と引き換えに、日本で逮捕されている工作員3人の釈放を要求、4月30日午前0時を期限としていた。
野崎は交渉に応じれば劉が日本のエージェントだと認めることになり、北朝鮮に利用されるだけでなく、中国との関係悪化や外交問題にも発展しかねないとして、要求を無視する方針を示す。しかし同時に、表向きは関知しない姿勢を取りながら、予備予算から2000万円の捻出を佐野に頼み、傭兵を使った救出作戦を進めた。
野崎は張を含むエージェントたちに監禁場所の捜索を命じるが、張を中国側のダブルエージェントと疑っていた野崎には別の狙いもあった。
張の持つ中国側のルートを利用して中国を動かし、劉の救出につなげようとしたのだ。
しかし作戦は思うように進まず、監禁場所を2か所まで絞り込んだものの、交渉期限が迫っても正確な場所を特定することはできなかった。
失意の野崎に迫る樊の影
劉救出の作戦拠点では、交渉期限まで残り5時間となる中、偵察隊から新たな情報が入る。
天粮倉庫の向かいに住む女性が、顔に3本の傷がある男を目撃したという証言から、監禁場所を通州区永和街12号と特定。
野崎は当初の予測地点からさほど離れていないことを確認すると、直ちに作戦を組み直し、突入を決断する。
野崎は傭兵たちに対し、劉だけを救出すれば日本の関与を疑われるため、国籍に関係なく現場にいる人質を全員救出するよう指示する。そして『劉銘軒は俺にとって、かけがえのない大切な部下だ、どうかお願いだ助けてやってくれ』と頭を下げ、救出を懇願した。
傭兵たちも野崎の思いを受け止め、必ず助け出すと約束する。しかし、いざ出発しようとしたその時、野崎のもとにある映像が届く。
そこに映っていたのは、腹部に大きなナイフを突き立てられ、無残な姿となった劉だった。
救出作戦は間に合わず、劉を失った野崎は深い悲しみと自責の念に苛まれる。北京での任務を続けることはもうできないと判断し、日本へ戻ることを決意。
北京での最後の夜、滞在先のマンションへ戻った野崎を待っていたのは樊だった。
「野崎守、直接会うのは初めてね」(樊)
「樊星宇(ハン・シンウ)の娘、樊林杏(ハン・リンシン)」(野崎)
「光栄だわ、あなたに名前を覚えてたなんて」
「劉のことで野崎に付け入るスキがあると踏んだんだろう、この時点ですでにシンシーの責任者になっていた樊は、自ら野崎を誘いに来た」(佐野)
樊は自分が政府組織を離れ、独自の情報ネットワークを築いていることを明かす。
北朝鮮、ロシア、イスラエル、韓国など、各国の諜報機関の現場責任者とつながりを持ち、国家間で問題が起きた際には水面下で調整できる関係を構築していた。
そのうえで樊は、日本だけがそのネットワークに加わっていない、もし野崎が加わっていれば、劉を救えた可能性があると語る。
樊は同じ悲劇を繰り返さないためにも自分たちと手を組まないかと持ちかけた。
しかし野崎は祖国を裏切るような真似はできないと拒絶。
樊はすぐに答えを求めることはせず、再び会うことを告げ部屋を後にした。
張競士の告白
野崎が帰国して1カ月後、張競士が野崎の前に姿を現す。
野崎は夜の野球場に張を連れ出した
「ここは周りに人もいない、高いビルもない、ショットガンマイクで音を拾うことも不可能だ、安全だ、安心しろ、逃げてきたんだろ?」(野崎)
「以前から私を怪しんでましたよね」(張)
「樊林杏が会いに来た時、劉のことを詳しく知っていた。情報を流したのはお前だ、中国公安部だと踏んでいたがシンシーだったとはな」
「はい」
張はシンシーの責任者となった樊に劉の救出を頼んでいたものの、願いは聞き入れられず、結果的に劉を見殺しにしてしまったという。
さらに、劉を失った野崎の姿を見た樊が、その悲しみにつけ込んで野崎をシンシー側へ引き込もうとしていたことも明らかになる。
張はこれまで日本を陥れるために情報を流してきたが、野崎が劉を救おうと傭兵まで雇い、頭を下げる姿を目の当たりにして考えを変え、これ以上日本を裏切ることはできないと決意していた。
「勝手にしろ、これからどうすんだ?」(野崎)
樊は「手を組もうと野崎さんに言いましたよね?その誘い、乗ってください」と、張はある写真を野崎に見せた
「何なんですか?その写真は?」(櫻井)
「おいAI、君は公安の特別機密ファイルにもアクセスできるんだろ?」(佐野)
櫻井の許可を得たハヤトは、さっそくファイルへのアクセスを開始した。
夢の技術・核融合
ファイルに映っていたのは、7年前に自殺した核融合研究者エリシャ・ママドフの写真だった。
エリシャは8年前、世界で初めて核融合反応を持続させる技術を発明したとされていたが、その技術が実用化されれば化石燃料や原子力発電に代わる莫大なクリーンエネルギーが生まれ、世界の勢力図まで一変する可能性があった。
そのため、エリシャは研究データを完全に消去して姿を消し、各国の諜報機関や産業スパイが行方を追うことになる。しかし、研究所の関係者の多くが発明は失敗だったと証言したことで、西側諸国は捜索を打ち切り、その3か月後、エリシャはシリアで自殺した遺体となって発見された。
ところが公安の別ファイルには、遺体発見から3か月後、2016年8月5日の新聞を手にしたエリシャの写真が保存されていた。
佐野によれば、エリシャを捕らえた情報ブローカーが核融合技術のデータを高く買う国を探し、この写真を使い中国に接触していた。
中国側も西側諸国が発明がデマとされていたことを把握していたものの、真実である可能性を捨てきれず、この件をシンシーに調べさせていた。
「ちょっと待ってください佐野さん、それらは全て張の口から出た話ですか?」(乃木)
「そうだ」(佐野)
「それだけであの野崎さんが信用したんですか?」(乃木)
佐野はさらに別のファイルを開くようAIハヤトに指示。そのファイルにあった写真は、張が野崎に見せたベッドで横たわるエリシャのそばに立つ樊の姿が写るものであった。
樊の執着と「テント」の影
ーー野崎と張、エリシャと樊の写真を見る野崎
「これで私が言っている事が真実だと分かって頂けましたか?」(張)
「いいや、結局これは樊がデマかどうか確認するためにエリシャに会った、それだけの写真だろ?これだけで本物の核融合データが存在すると信じるには無理がある」(野崎)
張は、樊がエリシャと半年の間に10回以上接触したことや、シンシーの優秀な人材を投入して調査を続けていることを挙げ、樊が核融合技術を本物だと確信している可能性を示す。
野崎も樊がそこまでやっていたことに驚くが、それほど執着しているにもかかわらず、シンシーが長年にわたって技術を手に入れられていない点を疑問視する。
「エリシャが何らかの条件を出しているようで、それに応えられない樊はかなり焦っています」(張)
「条件?」(野崎)
「はい、調査したところ、どうやら樊は中央アジアで暗躍しているテロ集団について、必死になって調べているようで」(張)
「中央アジア…」(野崎)
「テント、それはテントのことだったのですか?」(乃木)
「そうだ」(佐野)
エリシャが本当に核融合技術を発明していたのか、最後まで確証は得られなかったものの、もし事実なら世界に大きな影響を及ぼすことになる。そこで公安は公益の観点から真偽を確かめるとともに、謎の組織シンシーの実態を探る好機と判断し、野崎守を潜入捜査に就かせることを決めていた。
しかし別班幹部から、野崎が別班員の拉致に加担した理由や、シンシーの監視カメラを放置した理由について説明がないと指摘される。
佐野はそれらはこの後に明らかになるとして話を続け、その年の暮れ、テントの調査でウランバートルを訪れた野崎のもとに、再び樊から接触があったことを明かす。
明かされたバルカ赴任の謎
ウランバートルで樊と再会した野崎は、シンシーに加わる意思はないと改めて伝える、しかし同時に劉銘軒を失ったことで公安の仕事に嫌気が差し、国に尽くしても十分な見返りがない現実への不満を口にする。
樊は野崎が金を求めていると受け取り、別班に関する情報を買いたいと持ちかける。
「別班?別班ってあの別班か?」(野崎)
「そう」(樊)
「そんな、あるかどうかわかんねえ組織」
「あるかどうか分かってんでしょ?あんたたちは、さんざんやられてるの、数えきれない位」
「分かったよ、ただし国家機密レベルだ、それなりのもらうぞ」
野崎は帰国後、日本で別班の動きを追い続け、外国の諜報員やテロ組織の関係者が自殺や事故死、自然死した事件を別班によるものと推測して捜査していた。
しかし別班は一切の証拠を残さず、野崎ですらその活動を立証できないほど完璧に痕跡を消していた。
そんな中、テントが世界を揺るがす存在となり、野崎はテントの周辺には必ず別班が現れると考える、そこでテントの拠点とされる中央アジア、その中でも特にテントとの関係が深いとされたバルカに赴任し、テントを追いながら、現地にいる数少ない日本人の中から別班員を探していた。
「そして私がやって来た。いくらテントの脅威といっても、なぜ公安の中で頂点を極める野崎さんが、バルカに2年も赴任していたのか、これで一つ謎が解けました」(乃木)
続いて監視カメラを放置した理由について。野崎が樊と接触してから2か月後、シンシーから提供された特別回線に樊から連絡が入り、樊は野崎のバルカ赴任をすでに把握していた。
完璧な包囲網『天網』
佐野と野崎しか知らない野崎のバルカ赴任を樊が把握していたことで、佐野は公安内部にシンシーの工作員がいる可能性や、盗聴器・監視カメラが仕掛けられている可能性を疑った。
しかし、大掛かりな調査に踏み切れば野崎のダブルエージェントとしての立場が露見する恐れがあり、徹底した捜索はできなかった。実際、佐野が自宅で話した内容までシンシー側に伝わることがあった。
「まさに『天網(てんもう)』ですね」(乃木)
「では野崎守との綿密な作戦はどこで?」(櫻井)
「乃木君も行ったはずだ、野崎と東条とで」(佐野)
「月島のもんじゃ焼き『おふだや』ですね」(乃木)
佐野たちは元公安の諜報員だった「おふだや」の女将の協力を得て、電波妨害装置の設置、毎日カメラや盗聴器をチェックしてもらい、機密はそこで話すようにしていた。
野崎がバルカに赴任していた2年間は大きな動きもなかったが、帰国後、シンシーからの接触が頻繁になる。
樊はテントと別班の情報をいまだ入手できず、焦りを募らせていたようで、野崎から聞く限り、外事4課で起きていることはシンシーにほぼ筒抜けの状態だった。
だが週1回の定期検査でも監視カメラや盗聴器の気配すら見つけられない。
「一体どこに設置してあるのか、確認するためにひと芝居打った。野崎が島根で君のお父さん、乃木卓の素性を調べてきたあと、2人だけで堂々と君のことを話したんだ」(佐野)
(乃木憂助は必ず父親を追い続ける、乃木の先には必ずテントがいる)(野崎)
(むやみにテントを捜すより、その方がことが早いという事か)(佐野)
(ええ、最後の最後にけりをつけるのは、我々公安ですよ)(野崎)
ーー翌日、樊からすぐに野崎へ連絡が入った。
樊から、テントの指導者が元公安の乃木卓であり、その息子である乃木憂助が別班員だという噂を聞かされた野崎は、乃木卓については事実だと認める。
テントについて報告する義務はないと説明する一方、憂助については別班員だとする確証はまだないと答えた。しかし野崎が憂助を執拗に追っていることから、樊は別班との関係を疑っていた。
「まだ確証がねえ、だがもし乃木が別班なら、あんたらの部下が数えきれないほどやられたのも納得がいく、別班は想像を遥かに超えた存在のようだ。奴らを売れば俺の身もただじゃ済まねえ、姿を隠さないと消されちまう」(野崎)
「でしょうね」(樊)
「そん時はあんたらが、面倒みてくれんだろうな」(野崎)
「わかったわ」(樊)
野崎は「もう少しだ、また連絡する」と電話を切った。
国家の危機と核融合
公安は作戦の第2段階として、野崎に別班員の情報と引き換えにシンシーから自分を保護する約束を取り付けさせ、潜入への足掛かりを作った。
樊の電話から、外事4課には確実にシンシーの監視カメラや盗聴器が仕掛けられていることも判明し、調べていないのは警視庁自体が設置した監視カメラである。
シンシーに悟られないよう、一台を修理名目で取り外して調べたところ、純正品より1ミリ大きいボルトにカメラが仕込まれていることを突き止めた。
「とはいえ、カメラを外せば向こうに気づかれる。それ以後も、最重要機密は渡さないよう注意を払い、耐え続け現在に至る」(佐野)
「ありがとうございました、おおむねのことは理解できました」(櫻井)
別班幹部から、確証のない情報をもとに別班員5名の命をシンシーに差し出したのではないかと追及された佐野は、それを認める。
しかし、核融合技術が本物で中国に独占されれば、日本の国益を損ない、国家の危機にもつながる可能性があるとして、核融合の真偽を確かめることを優先したと説明する。
「最高司令官、もしあんたが俺の立場ならどうする?」(佐野)
「当然核融合を優先します」(櫻井)
一方、3月27日、バルカ時間21時、乃木はテント潜入作戦のため別班員4人を銃撃し、瀕死の状態だった彼らを野崎は乃木の依頼で日本へ移送する。
回復した4人は野崎の尋問にも一切口を割らなかった、佐野はその屈強な姿を見て、どんな拷問を受けても2カ月は情報を漏らさず生き延びられると確信する。
「仮に核融合技術の発明がウソだったとしても、野崎はシンシー潜入捜査を、別班員が生きている2か月以内にかたをつける。そういう算段で動いている」(佐野)
『π』のような世界
拉致された別班員の行方については、居場所が分かれば野崎が何らかのサインを送ってくることになっていたが、佐野の元にはまだ情報は来ていなかった。
乃木は野崎から残された「公安が監視されている可能性」「πのような世界」という言葉と、東条への1億2,600万円の報酬を手掛かりとして挙げる。
その時ハヤトから、わずか8分前に同じ海外口座から東条へ1億6,000万円の振り込み申請があったとの報告が入る。
野崎の言葉を思い出す乃木
(それはまるで『π』の様な、永遠に割り切れない世界に身を置いている)
「π、πで割る…ハヤト振込額に円周率を掛け、上から10桁だけ表示、それを座標に」(乃木)
緯度、39.5840674度
軽度、50.2654824度
得られた数字を座標として検索すると、ゴルバド中部オルコ村にある1583年築のシャキ城跡を指していることが判明した。
櫻井はハヤトに太田へ連絡させ、シャキ城上空の衛星をハッキングして、現地の画像を至急送るよう指示する。
ーーシャキ城
乃木の解明した通り、そこでは別班員たちが捕らわれ、拷問が行われていた
ーーシンシー本部
シンシーのポリグラフ検査を終えた野崎は、虚偽反応もなくダブルエージェントを疑う要素もないと樊から確認され、幹部との面会を求める。
「もうひとつ受けてほしいの、こんなポリグラフ、あなたなら赤子の手をひるようなもんだって言う人がいるのよ」(樊)
「誰だそいつ」(野崎)
「よく知ってる人」(樊)
「樊さんその人は国を裏切るような人じゃない、根っからの国士ですよ。お久しぶりです、野崎さん」
野崎の前に現れたのは、5年前に死んだはずの劉銘軒だった。

劉は北朝鮮と中国の会合に潜入後、あと一歩のところで捕らえられたと振り返る。
毎日20時間にも及ぶ拷問を受け、食事や水もほとんど与えられない過酷な環境で、何度も意識を失いながら耐え続けた。野崎が必ず助けに来ると信じていたが、日本からの救出も人質交換も進まないまま処刑の時が迫った。
「さあ問題です、私はこの状況からどうやって生き延びたのでしょうか?…素晴らしい、さすが野崎さん。おわかりになったようですねぇ」
劉は殺される手前で(私はシンシーです、シンシーの諜報員としてん日本大使館に潜入していました)と話した
北朝鮮側がその身分を確認し、樊が現地に現れ劉は救出されていた。
「日本には私の死亡を伝えさせ、それで任務は終了」(劉)
「いつからだ?」(野崎)
「5歳からです」
「日本で教育されたのか?」
「はい」
「大したもんだお前らの国は」
シャキ城を捉えた映像と、動き出す事態
諜報員は現地で生まれ育った人間にやらせるのが最も理にかなっているという中国の考えから、日本で教育を受けた劉は北京の日本大使館に潜入するダブルエージェントとして適任であった。
だが最初は仕事も人間関係もうまくいかずブルーな日々を過ごしていた。
「しかしあなたが北京に赴任された時から、私の中の何かが動いたのです。寡黙でありながらも感じられる細やかな心配り、憧れと尊敬も重なり、あなたへの愛が芽生え、それからどんどん…」(劉)
「今更そんな話をして何になるんだ」(野崎)
「張が言ったそうですよ、最後に」
「最後に?殺したのか?」
「はい、あなたの推察どおり彼もダブルエージェントでした」
張は逃げ出したため射殺されていた。張は殺される際、劉への伝言として、野崎が劉の救出のために傭兵を雇い『かけがえのない部下だ、助けてやってくれ』と深々と頭を下げていたことを伝えていた。
「嬉しかった、涙が出ました。やはり私を愛してくれていたんですね。だから私にそっくりな乃木憂助を可愛がり、乃木だけをシンシーに売り渡さなかった」(劉)
「お前な…」(野崎)
「嫉妬しちゃいますよ、彼に私の面影を見て愛してしまったんですね」(劉)
劉は改めて野崎が日本を裏切った理由について問い詰める。
野崎がかつて樊に語った『金』という説明を繰り返すと、劉は野崎の頬を叩き「私にウソをつかないでーーー!!!」と叫んだ
ーー別班施設、乃木と佐野
乃木は公安内部でシンシーのカメラを仕掛けられる人物を、ある程度絞り込めると考えていると佐野に明かす。
「君たちのことだ、工作員を捕獲後、尋問を経て即時抹殺するつもりだろ」(佐野)
「全ては国防のため、危険因子は取り除いておくことが肝要です」(乃木)
佐野は工作員と連絡が取れなくなればシンシーに野崎への疑いが生じる可能性があると懸念したため、櫻井が乃木に策を示すよう求めた。
乃木はハヤトに自身の映像と音声データをディープラーニングさせ、通常の会話と同じ速度で応答できるAI映像で薫にテレビ電話をかけてみせる。
すでにバルカで重傷を負った別班員についても、このAIを使ってそれぞれの家族や勤務先にテレビ電話で連絡させていた。
櫻井は佐野に、一時的に別班と公安で共同戦線を張ることを提案する。
「裏と表が手を組むということか?」(佐野)
「少なくとも別班の力を知っている野崎さんは、そう考えておられると思います。野崎さんはイスラエルやゴルバドの監視カメラにあえて姿を見せていました。カメラを避ける手段はあったはず、なのにそのまま写った、それはエリシャが持つ核融合のデータをシンシーではなく、我が日本が手に入れるために、いずれ我々別班の力も必要になると考えているからではないでしょうか」(乃木)
「野崎…わかった、裏と表、手を結ぼう」(佐野)
その時、ブルーウォーカーからシャキ城に関する緊急連絡が入る。太田が映像を表示すると、そこには大勢の人間が集まっていた。
思いがけない事態に櫻井は至急、現地の別班員に行方を追わせるよう指示する。
ーー野崎にも同じ映像を見せる劉
「本日第2問目です、まずはこの映像をご覧ください、こんな大人数で一体何をしているのでしょ~か?答えはもうお分かりですね?そう答えは別班員たちを別の場所に移送させているのでーす」(劉)
劉が暴いた野崎の暗号とレストランの秘密
「さあ次の問題です、なぜシンシーは別班員と兵士を移送させたのでしょうか?」と、劉は野崎がレストランのトイレの窓際に立っている映像を見せた。
ルモーに来てから野崎を監視していた劉は、野崎がレストラン「サーティーン」に3日連続で通い、毎回19時きっかりにトイレへ向かっていたことに注目する。
「そんな普通ありえます?ピーンときました、ルモー地区での通信は全て検閲が入る。あなたはここで何かのメッセージを待っているんじゃないかと。これが3日目の映像です」と、示された映像では野崎が何かを書き留めていた。
「何のメモ?」と、劉は野崎の耳元で小声でささやいたが野崎は何も答えない
「ですよね~どうせ黙秘すると思って必死に調べました、あなたは一体何を見ていたのか」(劉)
劉は野崎がトイレの窓から何を見ていたのかを調べるため、窓の外にある監視カメラの映像を19時ちょうどの時間で3日分比較し、自分も同じ位置に立ってみた。
すると、野崎が向かいにあるゴルバドゴールド社の4階に設置された電光掲示板を見ていたことに気づく。
そこには24時間、世界の金相場が表示されており、その掲示板はオフィス内かレストランサーティーンのトイレの窓からしか見ることができなかった。

「そこでその日のゴルバドゴールド社の防犯カメラをチェックしてみると。ニューヨーク市場、ロンドン、チューリッヒ、香港とくるところ、なんと…シャキ城とでたのでーす。もう認められてはいかがです?野崎さ~ん?」(劉)
【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『VIVANT・第2シーズン』/ 放送・配信:TBS
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。


