- 咲子は夫婦や家族という形にこだわる必要はないと気づき、充に家族をやめ、もっと楽な関係になろうと提案する
- 咲子と樹生が浮気を疑っていた2人の「苦手なもの」、花火と水族館のチケットは、実は充とあずさがそれぞれを思って準備していたものだった
- 離婚を受け入れた充と別れ1人になった咲子は、周囲の人たちとのつながりを感じながら新たな生活を送る
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「ありがとう」(咲子)
「ううん」(充)
「今までありがとう、別れよっか、別れた方がいいと思う、充だってそう思う…」(咲子)
充(松山ケンイチ)は「嫌だ、絶対別れない」と言って洗濯物を持って居間へ行き、何事もなかったように洗濯物をたたみ始めた。
「えっ?」(咲子)
第10(最終)話・あらすじ/ネタバレ
樹生(中島歩)がいつものコインランドリーへ行くと、うなだれた咲子(蒼井優)がいた。
「もしかして?」と樹生が聞くと、咲子は充と別れようと思っていることを話す。
充が自分に嫌われないようにしようとしていることが伝わってくるものの、それは付き合い始めのような愛らしさではなく、義務のように感じる。一方で咲子自身も充がいついなくなるのか、明日か明後日かと怯え続けていた。
「でしょうね、人間関係ほど不可逆なものはないですよ。知って、知る前になんて戻れませんって」(樹生)
咲子は充がいなかった1年間も、自分からいなくなった数日間も、寂しさや不安はあったものの、友達や仕事、家があり、元夫や園田にも支えられて大丈夫だったと振り返る。
そして充と離れたことで、家族や夫婦という形にこだわらなくてよく、夫がいなくても孤独ではないと気づいた。いずれ充が突然いなくなり、遅かれ早かれ同じことになっていたとも考えていた。
「そうですね、まあ瀬尾さんの離婚歴はね、墓場まで持ってけそうでしたけどね。てか10年くらい隠したんでしょ?ヤバっ、すごっ!コツとかあるんですか?夫をダマすコツ?」(樹生)
「園田さん話しやすい理由分かった、女友達みたいだからだ」(咲子)
「褒めてます?」(樹生)
咲子は樹生との、何の契約もなく嫌われたり縁が切れたりしてもどうとでもなる関係がありがたく、毎週コインランドリーで何でもない話をする時間が続けばいいと思っていた。
樹生も家の外によりどころがあることの心地良さを、この1年で学んでいた。
樹生は咲子が別れたいなら別れればいいと助言するが、充は「絶対別れない」の一点張りで、話し合いにもななっていなかった。
「どうしましょ?」(咲子)
樹生は少し考え「うーん…めんどくさ」とこぼした。
似た者同士
ーー咲子は喫茶『ひこうき』を訪れた
「充は?」(咲子)
「あっちにいると思いますけど」(直人)
「聞いた?」
「別れる気ないみたいですね」
咲子はカウンターに離婚届を出し、話し合いにならないため、先に手続きを進めることにしたと話す。直人(高橋文哉)は「ここで書くんですか?」と困惑しながら、家でやってほしいと小声で訴える
「直人君大変だったよね、充みたいな人とほとんど2人きりで仕事して。突然1人にされて」
すると直人は、自分も充と似たところがあり、小学生の頃は不登校、中学では部活を転々とし、高校ではアルバイトを何度も辞め、恋人とも長く続かなかったと振り返る。
「充っぽい」(咲子)
「周りのちゃんとしてる人間からは、我慢と努力が足りないって言われてきました。人間関係は我慢と努力、それができない君はダメな子、だからこの先一生、転々としながら1人で生きていくって覚悟決めてたんですけど」(直人)
「居心地いいよね、充の横、わかる」
「大変だったらすぐ辞めよーって感じで働き始めたんですけどね」
直人は新卒で入った大企業を3日で辞めていたが、充と働き始めてからはもう4、5年が経っていた。
「瀬尾さんと似た者同士って事ですよ、俺も、咲子さんも」(直人)
「私と充は似てないと思うけど、お互いぜ~んぜん違うトコ見てる、だからすれ違った」(咲子)
直人は咲子のことが好きだと伝える。ただし、充のことはもっと好きで、2人とも好きだからこそ理解できる部分も多く、自分がしたくてもできないことをする2人を羨ましく思い、余計に苛立っていたと話す。
そこへ充が店の裏から顔を出した。
咲子が選んだ新しい距離感
充に離婚届を差し出した咲子「これ先に書いちゃうから、あと埋めてね」
「い~や~だ~書かない、書けない、書いたことないし」(充)
「普通ないんだって、私が書きすぎなだけ」(咲子)
充は「さっちゃんホントわがままだよね、繰り返すわけだよ、結婚生活うまくいくわけない」と、もう次はないかもしれない、咲子と結婚してくれる人は現れないと思うと愚痴る。
「うん知ってるそれでいいの。もうねえ家族にこだわるのやめたの。戸籍が別でも一緒に住んでなくても、会うのが週1でも、月1でもいい。お互いに居心地が良くてちょうどいい距離感でいられる人とだけ一緒にいる。充ともそうなりたい、だから家族やめよ?」(咲子)
すると充は、咲子が園田の夫と不倫しているのではないかと言い出す。
直人が「何でそうなる?」と突っ込む中、咲子は「じゃあもうそれでいいよ」と充をあしらうように答える。
「俺と園田さんの事も不倫だったと思ってるんだ」(充)
「ですでーす、思ってまーす。はいこれ残り書いてね」と咲子は離婚届の残りを書くよう充に渡し、直人に証人のサインを頼み店を出て行った。
残された充は離婚届を紙飛行機に折り、咲子へ飛ばしたら嫌われるかと直人に相談する。
「嫌われないよ、無理無理」(直人)
離婚届の紙ひこうき
ーー夜、咲子がカレーを作っているところに、充が帰宅する
充は折り紙のように折った離婚届を紙飛行機にして咲子の方に飛ばすと、離婚届はカレーの鍋に落ちた。咲子は呆れながら鍋から取り出して拭き、今度は充に向けて飛ばす。
充はさっちゃんなんか好きになんなきゃよかった、出会わなければ自分に向いていない結婚もしなかった、咲子が家を買おうと言われたことで逃げられなかったと不満をぶつける。
「じゃあ別れてあげよう、逃げ放題!(咲子)
「声大きい、そうやっていつもムダに明るくて元気で」(充)
「結構落ち込んだりするけどね、持ち直すの早いだけで」(咲子)
「どこ連れっても楽しそうにするし、何でも美味しそうに食べるし」
「人混みとトマト苦手だけどね」
「何でも一生懸命だし、よく笑うし」
「ありがと、褒めてくれて。別れたくなくてごねてるんじゃないでしょ?」
「別れたくないだけだよ」
わざと咲子を怒らせて本音を吐かせようとしているのかと聞かれても、答えは同じだった。
咲子はまだ離婚届を提出していない以上、自分たちは夫婦なのだから嘘はつかないように、ここ数日、充も居心地が悪かったはずだから離れて楽になろうと説得すると、充は嫌われればお互いに楽に別れられると思っただけだと本音を漏らす。
「申し訳ないんだけど、嫌いにはなんないよ、今生(こんじょう)の別れってわけじゃないよ。家族辞めてもっと楽な関係になろうって言ってるの、だから…安心して別れて」と咲子は離婚届を充に差し出し、ようやく充は離婚届を受け取った。
「空いてるとこ書けばいいの?さっちゃん、こんな折れ線だらけで受け取ってもらえる?カレーのシミもついてるし」(充)
「どうだろ、さすがにこんな状態の出すの初めて」(咲子)
「5回目でも初めてのことあるんだ」
「充が初めてだもん。こんなに好きになって、こんなに長く一緒にいたの」
充は離婚届の折れ目を伸ばし、記入を始めた。
洗濯物が乾くまで
ーー咲子と充は充の荷造りをしていた
咲子は郵送先となる新しい家の住所を聞くが、充はまだ決めていないと答えた。
「えっ?だって充が自分で出て行くって…」(咲子)
「うん、大丈夫慣れてるから、別に家とかすぐなくても全然」(充)
「…説得力が凄い」(咲子)
咲子は充にTシャツやスウェットくらいは置いていけばと勧める。
「えっいいの?」
「あと下着も。旅行とか行くとすーぐコンビニで買えばいいやって、そのせいで見て、靴下とパンツコンビニのやつばっかり。ちょっと置いてきな、もったいないから」という咲子の言葉に、充は思わず吹き出す。
「実家みたい、普通の実家がどんなか知らないけど、実家からまた一人暮らしに戻る前のお母さんみたい」(充)
咲子は洗濯機に入れっぱなしの充の服があるかもしれないと伝えると、充はそれなら洗濯してしまおうと提案する
「フィルターあれで、乾燥機使えないから干さなきゃだけど、コインランドリー行く?」(咲子)
「ううん、一緒に干そう、晴れてるし、全部乾いたら行くね」(充)
「うん…」(咲子)
ーー樹生の家には、妹の実樹が来ていた
実樹は「あずささんから水族館のこと聞いた?」と尋ねるが。樹生が何も聞いてない様子を見て「まだだったか」とつぶやいた。
花火大会
ーー咲子と充
充はカーディガンのポケットから、以前買っていた花火大会のチケット見つけた
咲子がその花火大会に行ったことを伝えると、充は「でもチケット使ってないじゃん」と言う。
「行こうとして行けなくて、その席じゃない違うとこから見た」(咲子)
「そっか、花火見れたならよかった」(充)
「ごめん」(咲子)

充はチケットを見ながら、この席なら人混みを通らずに行けて、隣との間隔も広くゆったりしている「そういうとこならさっちゃん行けるかなって」と話す。
この家に引っ越してまだ乾燥機がなかった頃、一緒に洗濯物を取り込んだ時、ビルの向こうにチラッと見えた花火を咲子が一生懸命見ようとしていた。
充は咲子は本当は花火が好きなのだと思い、このチケットを購入していた。
「…このチケット、私と?」(咲子)
「花火、綺麗だった?」(充)
「…綺麗だった」
「一緒に見れなくてごめんね」
咲子はこらえきれず涙を流した。
充が帰りは人混みが大丈夫だったかと気にすると、咲子は人と一緒だったから大丈夫だったと話す。
充が樹生と行ったのかと聞くと、咲子は泣きながらうなずいた。
「だよね、チケット取らなくても探せば見れるとこあるよね、もったいなかったかな」(充)
ちょっと大きめの靴
ーー樹生の家、実樹(齋藤飛鳥)が来ていた
樹生は翔に水族館へ行く準備をしようと声をかけた
翔はこれ履いていい?と新しいスニーカーを持ってきた、買ったときは少し大きかったが、履かせてみるとスニーカーは今の翔にぴったりのサイズになっていた。
「ママの楽しみ、最初ちょっと大きいのがちょうどよくなるの」(翔)
「翔ちゃんがいっぱいご飯食べておっきくなるの楽しみだったんだね」(実樹)
樹生はあずさがいつも大きめのサイズを買ってくるため、長く使えなくてもいいからちょうどいいサイズを買うよう言っていたと振り返る。
あずさは中学校の入学式で少し大きな学ランを着る翔を楽しみにしているなどと言って、はぐらかしていた。
「靴はさ、大きすぎると危ないから履けるようになるまで飾っといて、たまーに履かせてみて、それはそれで楽しそうだった」(樹生)
「自然と丁度よくなってくのが嬉しかったんだろうね」(実樹)
「ケチくさいなって思っちゃってた。一緒に楽しめばよかった」(樹生)
そこへ翔から「ねえねえ、パパ聞いて」と声をかけられた樹生は、翔の姿に「ねえねえ、樹生聞いて」と話しかけてくるあずさの姿を重ねた。
深夜の横断歩道
ーーベランダで一緒に洗濯物を干す充と咲子
咲子は充がまた指輪をしていることに気づく。
充は長野にいた頃、父親の畑を手伝っており、そのとき外すよう言われてから着けていなかった。
「お父さんの具合悪いって聞いて会いに行ったんだよね?」(咲子)
充は父親に会いに行くというより、様子を見てみようと思っただけだった。
しかし、サービスエリアで急に逃げたくなり逃げた。その後バス事故のことを知って、どこへ行けばいいのか分からなくなった末、もともとの目的地だった実家へ向かい、そこで初めて動けなくなったと振り返る。
充の両親は年は取っていたものの無関心な所は何も変わっておらず、人は変われないんだと充は実感していた。
「へえ~よく1年もったね」(咲子)
「うん、でももう他人だと思ってたから距離感はつかめてた。客観的に親のこと見れていい機会だったよ」(充)
2人は並んで洗濯物を干しながら話していた。充は「これいいね、顔見ないで話せるのって」と、最後だから普段なら顔を見て聞くのが恥ずかしいことがあれば聞いていいと咲子に話す。
すると咲子は「なぜ自分を好きになったのか」と聞いた。
「今?」(充)
「だってずーっと気になってたもん」(咲子)

充が確信したのは何度目かの食事の帰りだった。
夜遅くタクシーを拾うために歩いていたとき、短い横断歩道の信号が赤になった、深夜で人も車も通らない場所だったが咲子はきちんと立ち止まった。
「充は渡ろうとしてたの?」(咲子)
「ううん、俺も普段は止まるんだけど大概みんな渡るから、一緒にいる人が渡るなら渡っちゃう。けどこの人どうかわかんないな、どうしようかなって思ってたら、さっちゃんも横でピタッて同時に足止めて、俺たち青になるまで止まったまま。ちょっと飲み過ぎましたねーみたいな中身のない話してた。それだけ、それだけのことなんだけどね。その夜の寝る前とか朝顔洗う時とか、さっちゃんのこと思い出してたかな。さっちゃんは?何で?」
「う~ん何だったかな」(咲子)
「え、ずるいよ、言わないの」(充)
「いやもう忘れた、もう気づいたらってやつ。天気いいから他のも洗濯しちゃおっか」(咲子)
「え?シーツとか?」(充)
全然洗濯していないと聞いた充が、最後にいつ洗ったのか尋ねると、咲子は「全然してない、全然」と言いながら、2階のベッドルームへ駆け上がっていく。
「じゃあ洗わなきゃね…」と充も後を追い、2人でシーツを外し始める。
(それからシーツにブランケット、枕カバーにクッションカバー、しまいにはカーテンまで洗濯して、2人で協力して干した。乾くな乾くなと祈りながら干してちょっとズルもした)(咲子)
ーー咲子は充が家の中に入った隙に、洗濯物へ霧吹きをかけて湿らせる
(家を買う時、毎日帰りたくなる家にしたいねって話して、沢山探した。見つけたこの家で特に気に入ったのが庭があることだった。シーツもカーテンも干せちゃうね、そんな話をしたのにすぐに乾燥機能付きの洗濯機に買い替えてしまった)(咲子)
ーー充も咲子が家に入った隙にシーツに霧吹きをかけていた
離れがたい未練
ーー夕方になり、2人は乾いた洗濯物を畳み、カーテンレールにフックを取り付ける
「乾燥機の調子悪いから、新しく買い替えようとかコインランドリー行こうとか、そうなってたけどさ、2人で一緒に外に干せばよかったんだよね」(充)
咲子が「これいいよ、あとで自分でやる」と言うと、充は「カーテンつかるよ、さっちゃん届かないでしょ」と手伝おうとする。
「脚立買った、もう1人でできるの」(咲子)
充は「な~んだ、ホントにもう大丈夫なんだ」と言い、荷物を持って立ち上がった
玄関先で立ち止まった充に、咲子が「行かないの?」と声をかける。
充は着替えや歯ブラシのことなど、どうでもいい話を続けながら、少しでも咲子との時間を引き延ばすように他愛のない話を続けた
「…スマホ持った?」(咲子)
「うん、持った」(充)
「じゃあ大丈夫だ」(咲子)

「あと…何か…あったかな」と充は玄関で振り返ったが、咲子の顔を見て「…もう大丈夫か」とつぶやいた。
「うん、大丈夫」
「じゃあ、いってきます」
「いってらっしゃい」
家を出た充は結婚指輪を外してポケットに入れ、歩き始めた。
橋の上を歩いている充を、樹生と散歩中の翔が見つけ声をかけた
翔が「バイバーイ」と手を振ると、充は樹生に頭を下げそのまま歩いていった。
咲子もまた結婚指輪を外し一人でカーテンを取り付けていた。
名前のない関係の人
ーー宮内( リリー・フランキー)の書店を訪ねた充
充は自分が勝手にどうだろうと悩んだが、あずさのことで伝えたいことがあると切り出す。
「施設に本持ってくる、本屋さんの話?」(宮内)
「気づいてたんですか」(充)
施設ではみんなが好きな絵本を選んでいく中、あずさだけは「まず、本屋さん聞いてー」と宮内に話しかけてきた。「絵本はいいの?」と聞くと、絵本の内容はずっと変わらないけれど、自分が今話したいことは明日になったら変わってしまうから、と小さい頃のあずさは言っていた。
「そういう人でしたね」(充)
宮内は履歴書を見たときにあずさだとすぐに気づいたが、気持ち悪いと思われるのが怖くて本人には黙っていた。そして勝手に父親のような気持ちになって樹生にはずいぶん意地悪をしていたと話す。
「園田さん再会できて喜んでましたよ。打ち明けておけば、もっと思い出話とか…」(充)
「喜んでたって、あなたが知ってるからそう思うんですよ。相手の反応が想像できずに自分の過去を語るのは怖いでしょ?」(宮内)
「園田さんとどんな話したんですか?」
「それは内緒ですね~、死んでもプライバシーは守られるべきだと思いますよ」
そうですね…お邪魔しました、と充は店を出て行った。
充が店を出たあと、あずさが現れた。
宮内が自分に気づいていたことを知り「言ってよ」と笑うと、あずさも「いやいや、こっちのセリフなんですけど」と返した。
宮内はあずさが小学4年生の頃に話していた男の子のことを思い出す。
他にもその男の子を好きな子がいて、バレンタインは修羅場になりそうだと話していたことまで覚えていた。あずさが「小学4年生、よく覚えてますね」と驚くが、それは宮内にとっても楽しい思い出だった。
「私も友達でも家族でもない、名前のない関係の人と話すの好きなんです。何話してもいいから、店長もそうでしょ?だからずっと会ってない娘さんの話、私だけにしてくれたんでしょ?」(あずさ)
「よく覚えてるね」(宮内)
「楽しかったから、子供の時ね、あの時間があったから寂しくなかった。必要で大事な時間でした」
「お互いにね」
女友達
ーー樹生が1人コインランドリーにいると充がやって来た
「やっぱ来た、第3金曜日なのにすみませんね、こっちの園田で」(樹生)
「いえ僕もこっちの園田さんに会えるかなと思って来たんで」(充)
充があずさから水族館のことを聞いたか聞くと、樹生は最近になって妹から聞いたと話す。
「翔君が3人で水族館に行きたがってるから、妹さんに預けてまずは夫婦2人で練習しに行くんだって。すごく楽しみにしてました」(充)
「苦手なものが共有できてれば、うまくいくもんだと思い込んでました。そっちの夫婦もそうか」(樹生)
「さっちゃん、洗濯物干すのが苦手なんですけど」
「家じゅうのあらゆる布を洗濯して、一緒に干しながら語り合ったんですよね?」
「うわっ、筒抜けだ」
「女友達みたいなもんなんで」
充が咲子は何か言っていたかと気にすると、樹生は「女の友情って意外と堅いんで」と答えなかった。
充は樹生に咲子のことは大丈夫だが、寂しがり屋の直人が心配なためときどき店に遊びに行ってあげてほしいと頼む。
樹生は「嫌だよ」と断り、充にどこへ行くのか聞くが、充は何も言わず頭を下げてコインランドリーを出て行った
ーー充が出て行ったところへ、あずさが現れた
実樹があずさから相談されてすぐに仕事を休めばよかったと言っていたと樹生が伝える。
「いいのいいの、翔のためってのもまあそうなんだけど、私が2人で行きたかっただけだし、そういう理由があれば翔預けやすいじゃん?樹生の水族館嫌いラッキーって思った。最低だね」あずさは笑った。
「分かったよ、あずさとあの人の関係、今すごく理解できてると思う。でもやっぱ嫌なもんは嫌だわ、ごめん、ただの嫉妬。ごめん」(樹生)
ちょうどいい距離感
ーー咲子の家
咲子はベランダで樹生と翔と一緒に花火をしていた。
翔が眠ってしまいソファで寝かせると、樹生はテーブルに置かれたミシンに気づく。
咲子は翔が小学校で使うものを作りたいと提案し、樹生も「ありがとうございます」と礼を言う。
これからも今のような関係を続けていきたいという樹生に咲子は「はい、ぜひ」と応じる。
「良かった」(樹生)
「嫌がると思いました?」(咲子)
「何とも中途半端な関係じゃないですか、他人に説明しにくというか…」
「だからあの2人も私たちに言えなかったんでしょうね。言えなかった?言いにくかった?」
「まあでも瀬尾さんと知り合って、この感覚を知れたのは良かったです。あずさと充さんにも2人なりの、ちょうどいい距離感があったんだなって思えるんで」
翔が眠ったこともあり、咲子は月1回のおしゃべりとして、あずさとの恋バナをしようと持ちかける。
樹生はまだそういう話はないと断るが、咲子はあずさが樹生のどこを好きになったのかに興味があった。
「聞いたことあります?」(咲子)
「いや、ないですけど、多分あれですよ、全部」(樹生)
「そうかなぁ」
「全部好きってやつですね、多分」
「あずささんに聞いてみたいなぁ」
「いや、だから全部ですって」
ーー喫茶『ひこうき』、千鶴や宮内が店に来ていた
千鶴は咲子が「せっかくだから離婚特集をやりたい」と言い出したことを愚痴る。宮内は面白そうだと賛成し、千鶴は結婚情報誌なのに離婚特集なんてと呆れる。
そこへ樹生と翔が店にやって来た。
千鶴が普通に働いている直人に今後どうするのか尋ねると、直人は店をもらって店長になったと話す。
「まあフラッと瀬尾さん帰ってきたら、雇ってあげてもいいかなと思ってます」(直人)
千鶴はみんな充が好きだと笑うと、直人も充には何かクセになる良さがあると話し、咲子も「あ、わかる~」と同意した。

ーーその頃、充はバスに乗っていた
通路を挟んだ隣の席には、小学生くらいの男の子が一人で座っている。
充は「どこ行くの?」と声をかけるが男の子はバツが悪そうに何も答えない
「大丈夫、大人になると帰る場所増えるから」と充が言葉をかけると。男の子と充は顔を見合わせ微笑み合った。
ピーナツバターの朝食と、ドアの向こうの笑顔
いつものコインラインドリーにいた咲子が人の気配に気づき「園田さん…」と振り返ると、そこにいたのはあずさだった。
「すいません、こっちの園田です」(あずさ)
「初めまして」(咲子)
咲子は樹生から聞いたあずさとのなれそめを確認する。
会社の受付をしていたあずさが樹生の部署に直接電話をして食事に誘ったという話に、あずさは恥ずかしそうにしながらも、それは本当だと認める。
咲子が樹生のどこを好きになったのか尋ねると、あずさは受付嬢には誰も声をかけない中、樹生だけは毎日きちんと自分に「おはようございます、お疲れ様です」と声をかけてくれたと話す。
それだけでなく、隣の同僚の女の子やエントランスの警備員にも同じように挨拶していた樹生に惹かれていた。
「さっちゃんは?」(あずさ)
「ほとんど一目惚れみたいな感じだったんですけど」(咲子)
「確信持ったのは?」
「短い横断歩道で、同時にピタって」
「え、何?分かんない、詳しく」と、2人は楽しそうに話を続けた
ーー充と別れ、一人での生活を送る咲子
咲子はいつものピーナツバターの朝食に戻り、ミシンで翔のためのものを作り、夜には一人で家に出た虫と格闘していた。
ある日、母親と電話で話しながら冷蔵庫から食材を取り出すが、かぼちゃを見て「今日これ要らないや」と冷蔵庫に戻す。母親から心配されながらも「人来るから切るね」と電話を切りため息をついた。
おかずがちょうどできた頃、玄関のチャイムが鳴る。
モニターに映った人物を見て笑顔になった咲子は、玄関へ出ると「おかえり~」と声をかけた
- 最後のシーンで樹生のTシャツっぽいものが干されているから、帰ってきたのは樹生という考察もありますが、カボチャのくだりから、シンプルに帰ってきたのは充かなと受け取りました
- 充が咲子のことを「この人だ」と思った短い信号機、充に聞かれた時咲子ははぐらかしましたが、あずさとの会話で「信号機でピタッと」と答えていて、2人は同時に「この人だ」と運命を感じていた、なのになぜ別れる…と考えさせられる結末でした
- 最後まで謎だったあずさの「フィナンシェ」、なぜ好きなものをわざわざ嫌いという必要があったのか…、好物と言ってしまうと、製菓メーカーに勤めているので会社からいつも持って帰って来るであろう樹生に気を使った?という無理矢理な解釈をしてみました
- スピッツさんの主題歌も相まって、金曜日の22:00から見るのにぴったりの雰囲気のドラマでした(決して月曜21:00とかではない)
- こんなに気が合ってお互いいい人なんだから、一緒にいればいいじゃん、気を使われ過ぎて嫌ならその都度「気を使わないで」って言えばいいじゃん、と後半元も子もない事を思いながら見てました…でもいいドラマだった!
【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『Tシャツが乾くまで』/ 放送・配信:TBS
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。



