- 野崎はシンシーへの潜入捜査であることを劉に問い詰められ、ドラムを殺されそうになったことでこれを認める
- 別班は囚われた5人の救出を断念し、毒殺を決定した。いったんは命令に従おうとした乃木だったが、長野に説得され、5人を救出する決意を固める
- 乃木はノコルに協力を求め、兄のためならテントの全勢力を挙げて協力するという約束を取り付け、司令の櫻井から5人の奪還作戦の許可を得る
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シンシー本部で野崎(阿部寛)の前に現れた劉銘軒(リュウ・ミンシュエン/堺雅人)は、50億円を移送した口座記録について追及する。
東条(濱田岳)に二度にわたって振り込まれた不自然な金額を暗号と考え、2つの金額にヒッチコック監督作品『引き裂かれたカーテン』に登場した重要な組織の名前『π』、すなわち円周率「3.141592653」を掛けると、シャキ城の緯度と経度になることを発見した。
「裏を取るなら徹底的に~あなたに教わったことです。知らせてあげたんですよね~?愛する乃木憂助に」(劉)
「ああそうだよ」(野崎)
「認めましたね?」
「お前を見て俺の判断は間違いじゃなかったと確信した」
「どういう意味ですか?」
第17話(第2シーズン第7話)あらすじ/ネタバレ
野崎は結果が同じなら少しでも殺生を少なくしたほうがいいと考えていた。
劉にそっくりな乃木(堺雅人)は見た目は同じでも中身は全く違う。行動を共にして超一流で唯一無二の存在だと分かったという。
バルカから日本へ移送された別班員たちも、作戦を何も知らされないまま乃木に銃撃された。それでも誰一人として口を割らなかった。
今もどんな手を使っても別班員たちは何も吐かない。死を前にして自分の素性を明かし、命乞いをする劉のような人間がいる組織には別班の口を割ることはできない。天地がひっくり返っても無理だと続けた。
ーー劉は野崎の頬を強く叩いた。
野崎は最後は過度な拷問で殺してしまうのが関の山なら、少しでも殺生をなくしたほうがいい。そのために救出できる場所を教えたのだと話す。
「お前たちにとっては結果は同じ、どっちにしろ日本の裏の諜報部隊、別班の情報は入らねえ。そう、お前達とは格が違うからな」(野崎)
ーー劉は野崎の椅子を蹴飛ばし、野崎に銃口を向けた。
別班のことなど劉にとってはどうでもよかった。任務はただ一つ、野崎が潜入捜査で来たのか、本当に国を裏切ったのかを見極めることである。
「シンシーであなたのこと一番理解しているのは私です。だからこれだけは言える、あなたは金なんかに全く興味がない、そういう男だ、根っからの国士、愛国主義者です」(劉)
野崎が「どうやって調べる、俺の頭の中でも見てみるか?」と返すと、劉はそれが分かる方法があると、部下の沈に「連れてきなさい」と指示を出した。
野崎が明かした協力者の名
そこへ連れてこられたのは、捕らえられたドラムだった。
「ドラム…」(野崎)
拘束されたドラムの頭に銃口を向け、劉は野崎を追い詰める。
「ご主人さまを心配して、はるばるゴルバドまで、けなげじゃないですか~。今はこういう人がタイプなんですか?随分と趣味が変わりましたねぇ」と野崎を挑発する。
ありふれた手だがこれが一番効くのは野崎から教わったという劉。野崎が空砲だと思っているのかと、天井に向けて2発発砲した。
「お認めになりませんか?公安の犬だと、また見殺しにしますか?あなたのために命を張る人間を。やりますよ?こっちの方が残酷かなぁ」と、劉はドラムの口の中に銃身を突っ込む。
「血の海が見たいですか?ではお見せしましょ~う」と劉が更に挑発すると
野崎は「潜入だ」と、ひとことだけ答えた。

「協力者はだれですかぁ~?あなたにシャキ城を教えたのは誰ですか?」(劉)
「お前もよく知ってる人間だ、毛(モウ)じいさん」(野崎)
「毛って北京の?」
「ああ」
野崎の答えを聞いた劉は尋問を別室で監視していた樊(ハン/宮下今日子)の部屋へ向かった。
野崎とドラムの再会
野崎は痩せたドラムを見て「痩せたな」と声をかけた。
ドラムは野崎が裏切っていなかったことが嬉しい、絶対に裏切っていないと信じていたと手話で伝えた。
「俺が裏切るわけねえだろ、腹減ってんだろ」(野崎)
「野崎さんが裏切ってないって分かったら、メチャクチャお腹空いてきた、あーお餅食べたいな」(ドラム)
一方、劉は樊に2人をどうするのか聞いた。
ドラムは自分たちは殺されてしまうのか、それでも野崎と一緒に死ねるなら平気だと話す。
野崎はシンシーは自分たちを殺せない、理由は分からないが何が何でもテントの情報を引き出したい、自分たちを殺せば、欲しがっているテントの情報は手に入らなくなる。
さらにテントの首謀者ノゴーン・ベキ(役所広司)、最高幹部のピヨ、バトラカ(林泰文)は死亡し、テントはすでに解体した。3人以外にテントに関与していた人間が何者で、今どこで何をしているのかを一番よく知っているのは乃木憂助、次に自分とドラムだと、樊が見ているカメラに向かって話した。
「テントって中央アジアで…」(劉)
劉が口を開くと、樊は日本語で話すよう命じる。
「失礼しました、テントとは中央アジアで暗躍していたテロ組織ですよね?テントの情報は我々にとってそれほど重要なものなのですか?それ私にやらせて頂けませんか?」(劉)
「彼をまだ愛してるの?」
「はい」
「いいわ、やってみなさい」
不穏な参列者
ーーノコル(二宮和也)とビデオ通話をする乃木
乃木はシンシーや核融合について何か思い当たることはないか聞くが、テントの作戦は主にベキ、バトラカ、ピヨの3人が中心であり、ノコルはフローライト事業に集中していて作戦には参加していなかった。
乃木もそれを聞いて納得する。
しかし、決まりだったため作戦の詳細な情報は会議で共有していた。だがノコルは核融合という言葉を一度も耳にしていなかった。
また、今回の件と関係しているかは分からないものの、ノコルには一つ気になることがあった。
ベキたちの葬儀の際、目つきの鋭い連中が参列者の写真をしきりに撮っていたという報告を受けていた。その連中は大人だけではなく、子供まで撮影していた。
「子供も?」(乃木)
「それとなく周りから聞いてみることにする、何かわかったことがあったらまた連絡するよ」(ノコル)
ーーシンシーで投獄された野崎とドラム
野崎は劉にドラムに何か食べさせないと死んでしまうと訴えた
「好き嫌いは?」(劉)
「ねえよ、まあ特に好きなのが、米、餅、ただし量は10人前だぞ」(野崎)
劉は食事を用意すると約束し、片づけなければならない仕事があるため長春に戻る、10日で戻ってくるのでそれまでおとなしくしているよう野崎に伝えた。
劉が去った後、監視カメラがあるため、野崎は読唇でドラムに話しかける。
(乃木にゴルドバのことを聞いたのか?)
(あいつはチンギスに会いに行ったのか?)
ドラムはいずれの質問にもうなずいた
ーー太田(花岡すみれ)と通信で話す乃木
乃木はエリシャを調べてもネット上にはほとんど情報が出てこないため、彼が勤務していたアストラ研究所に侵入し、そこを起点に情報を追ってエリシャの過去を調べてほしいと依頼する。
太田は不満そうに、今は黒須たちの行方を全力で追うべきではないかと返すが、乃木はその通りだとしながらも、今回、世界中を巻き込んでいる大きな渦は、エリシャとテントによって引き起こされた気がしてならない、エリシャを知らずして、これからの作戦を立てることはできないと説得した。
「分かりました、じゃあやります」と太田は通信を切った
「太田ちゃん黒須がやっぱり好きなんだな」(F)
「うん、さあ帰ろう」(乃木)
「いいか?今日バルカから帰国したんだぞ、先生は鋭いからな、気を付けろよ」(F)
奇跡の少女
乃木の家では、薫が「まさか乃木さんに見送ってもらえる日が来るなんて」と、ジャミーンの見送りを乃木にお願いして出勤して行った
乃木はジャミーンと2人きりになると、今日は学校へ行くのを少し遅らせてほしい、また写真を見てほしいとお願いする。
「うんわかった、また薫先生には内緒にしとくね、2人だけの秘密でしょ~?」(ジャミーン)
そこへチャイムが鳴り、佐野公安部長(坂東彌十郎)が訪ねてきた。
乃木は佐野部長に依頼した写真とデータを使い、ジャミーンの反応を一緒に確認したいと説明する。
ジャミーンの父親アディエルは、ジャミーンには直感的に人間の善悪を見抜く力があると言っていた。
乃木がバルカから帰国後、その発言を含めた詳細な報告書を作成して司令の櫻井(キムラ緑子)に報告すると、ジャミーンは生まれつき常人離れした能力を持つサヴァン症候群の類型かもしれず、人の善悪を見抜く能力は世界でも数件しか症例のない非常に稀なものであり、もしその能力が本物なら、今後日本の役に立つかもしれないため、調査を希望するという内容が返ってきた。
乃木はジャミーンが来日する前に現地付近の別動隊を使い、脳の検査と称して善良な市民と犯罪者、100人以上の写真をランダムに見せる実験を行った。
その結果、ジャミーンは一人も間違えることなく犯罪者を見分けた。その能力から櫻井はジャミーンを『奇跡の少女』と称した。
「このジャミーンの能力を借りて、監視カメラを仕掛けたシンシーの工作員をあぶり出せないかと考えております」(乃木)
「それで俺のテストも兼ねて呼び出したんだな?」(佐野)
「いえ、既に実施しております」(乃木)
以前、乃木はジャミーンの学校を訪れ、写真を見せながら誰が好きなのかを確かめさせていた。
山本にはこれ以上ないほど強い拒否反応を示し、野崎の写真には多少の反応を見せた。
最後に佐野の写真を見せたが、ジャミーンは何の反応も示さなかった。
佐野は以前、司令の櫻井から(人間を善か悪かで分けるとしたら、あなたは善人であることは承知しています)と言われたことを思い出す。
「あの時既に知っていたということか」(佐野)
「はい」(乃木)
佐野は野崎はバルカから帰国した後もジャミーンに会っていたのだから、様子から野崎に何かあると気づかなかったのかと聞く。
乃木は、ジャミーンの奇跡の能力が判明した後、病院で目を覚ましたジャミーンと野崎と自分が一緒の空間にいたのは一度きりであり、薫からジャミーンが野崎に懐いていないことは聞いていたものの、完全に自分の観測不足であったと反省する。
佐野は監視カメラを設置できる可能性のある全捜査官の顔写真データが入ったタブレットを乃木に渡し、乃木はさっそくジャミーンに一人ずつ写真を見せていった。
ジャミーンが反応した和久井と鈴木
ーー野崎とドラム
野崎は「ほら、俺のも食え」と自分の食事までドラムに分け与え、ドラムも少しずつ元気を取り戻していた。その様子を監視の沈が見ていた。
翌日、ドラムにだけ食事が運ばれてくる。
野崎の食事がないことに気づいたドラムに、沈は「お前が野崎の分まで食っちまうからな」と言い、別に食事を与えると、野崎をドラムの向かいの別の牢へ移す。
沈は持ってきた野崎の食事を床に落とし「ああ、ごめん。デブが全部食っちまったんだ。予備がない。悪いな」と言った。
ーー乃木の家、佐野部長と乃木
ジャミーンは和久井と鈴木に反応を示した。鈴木への反応が和久井に比べて非常に薄かったことから、佐野はまず和久井から調べようとするが、乃木は鈴木も見逃せないと判断する。
鈴木を見たジャミーンの反応が、野崎を見たときとほぼ同じだったためである。
「わかった、2人の捜査を速やかに実施する」(佐野)
「お待ちください、法の支配下にある公安です、何をするにも令状が必要になりますよね。共同戦線で進める意義がここに」(乃木)
佐野が「分かった、任せよう」と応じたため、乃木がさっそく動こうと立ち上がると、佐野はその手をつかみ「どちらであろうが、殺すなよ」と念を押した。

ーー野崎達の食事の時間
次の食事も、沈は野崎の食事を落とし「あちゃー、またデブが全部食っちまったんだ。我慢してくれ」と笑顔を見せた。
この様子を見ていたドラムが翌日、食事に手をつけずにいると、沈は「全部食べないと野崎の飯はなしにするぞ。今日は落とさないから食えよ」と脅した。
野崎は「ドラム、じゃんじゃん食え」と声をかけ、ドラムは食事をすべて平らげる。
しかし沈は、またもわざと食事を床に落とす。
「水くらいよこせ。丸3日飲んでねぇ」と野崎が訴えても、沈は「また明日」と笑う。
さらに翌日、沈は野崎に食事を野崎の目の前に置くふりをして、ひっくり返し「ごめんね」と笑った。
公安の裏切り者
ーー太田のマンションを訪れた佐野と乃木
太田はまず和久井の自宅に仕掛けたカメラの映像を2人に見せた。
「いつ仕込んだ?」(佐野)
「4日前、佐野部長が私の家に来た後、すぐ特殊作戦群が」(乃木)
映像には、和久井が妻に暴力を振るう様子が映っていた
「あの野郎」と佐野は憤る。
太田は妻に残る傷から、暴行が日常的に行われていたとみて間違いないと付け加えた。
乃木はジャミーンが和久井に強い嫌悪を示した理由はこれだと判断した。
「すぐに我々で対処する、となると鈴木か」(佐野)
乃木は鈴木の自宅のカメラやスマートフォンの記録からは怪しいものは何も見つからなかったが、公安内部の監視カメラ映像を佐野に見せた。
まず乃木と野崎がバルカから帰国した3月1日。
周囲に聞かれないよう佐野と野崎が部長室へ移動すると、鈴木がすぐに耳へイヤホンを装着する姿が映っていた。
続いて5月11日のサイバー対策室の映像。野崎が「悪いが全員退出してくれ。早くしろ!」と指示して部屋を出る際、鈴木はイヤホンを装着しながら退室していた。
さらに5月16日、野崎がイスラエルへ飛び立つ直前にも、野崎が席を立つと鈴木はイヤホンを耳に装着していた。
太田がイヤホンの形状を解析したところ、3年前に中国の工作員が所持していたものと型式が一致していた。
「常に盗聴を行っていたのか」と佐野が尋ねると、別班もそう判断していると乃木は答えた。
「あの鈴木が、工作員…、どうやって取り押さえる?」(佐野)
「既に6時間前に」(乃木)
シンシーの工作
人気のないビルの建設現場で、鈴木は樊とビデオ通話をしていた。
「樊同志、電車内でしたので、電話に出られずすみません」(鈴木)
鈴木は樊から野崎のバルカでの報告書を見つけたかと尋ねられ、見つけたものの、テントについては記載されていなかったと答える。
「どういうこと?」(樊)
鈴木が「恐らくレベル5以上の…」と話したところで、画面が一瞬ブラックアウトする。
鈴木がパソコンの画面をタップすると、映像は元に戻った。
「どうかした?」と樊に聞かれ、鈴木は「失礼しました。レベル5以上の者だけが閲覧できる報告書には記載してあるかと思います」と会話を続ける。

しかし画面に映っているのは、鈴木本人の姿をした偽の映像であった。
「何だ何だこれは? そいつは私ではありません! 端末が乗っ取られました!」
鈴木が焦る一方、樊は異変に気づかず、鈴木の偽物とそのまま会話を続けている。
「どういうことだ…」とつぶやいている鈴木の背後に乃木が現れた。
ーー乃木と佐野
「お約束通り、陸自の特別収容施設へ移送しました」(乃木)
乃木は鈴木の自宅に仕掛けたカメラから、この4日間で収集した映像と音声を使ってAI映像を作成し、通信を乗っ取っていた。
また、鈴木を96時間尾行したことで、1日に1回、必ず警視庁近くの新橋オメガビル507号室に立ち寄っていたことも判明した。
拘束後にその部屋の鍵を押収して踏み込むと、そこには佐野の自宅などを映し出す監視カメラのモニターが並んでいた。
「そこで監視していたのか」(佐野)
「はい、現在の公安サイバー対策室、そして佐野さんのご自宅も監視下に置かれておりました」(乃木)
「やはりな」
さらに乃木は、部屋にはプレエクサ級のAIが設置されていたことを明かす。
このAIは『別班』『テント』『バルカ』などのキーワードを含む会話を拾うと、その前後10分間の音声を自動的に別ファイルへ保存する仕組みになっていた。また、佐野、野崎、東条の映像は顔認証によって追跡・保存されるようプログラムされていた。
抜き取られた映像や音声は、1日1回、鈴木が確認し、有効なものだけをシンシーへ送っていたようであり、現在、このAIはハヤトの支配下にあり、問題のない映像と音声だけをシンシー側へ送る状態にしていた。
「わかった、しかし、別班の対応の早さは驚嘆に値するな、で、別班員たちの救出の方は?」(佐野)
「あれから4日、結果が出る頃かと…」(乃木)
塩味のオートミールに隠された事実
ーー別班の特別準備室にやって来た乃木
司令の櫻井は現地別班員からの報告を受け、5名の救出に向けた対応が決定したことを伝え、ハヤトから説明が行われた。
4日前、別班の第2衛星が、捕らえられている別班員たちが200人の兵士とともに移送された先を捉えた。場所はガリル村のジャマル収容所と判明し、現地別班員が調査を開始していた。これは突如決定されたものと推測される。
その理由はジャマル収容所で調理人と賄い人の募集が急遽行われていたことだった。
200人の兵士が一気に増えたため、このような対応が取られたと考えられる。しかも募集が行われたのは5日前、移動開始の前日であった。
その結果、別班はエージェントの1人を賄い人として収容所内部に潜り込ませることに成功した。しかし、内部を探らせたものの、5名の別班員の気配は一切なかった。
乃木は「フェイク」と判断する。
その可能性が高いとして、櫻井は改めてシャキ城の調査を行った。
現地別班員がシャキ城周辺を調査したところ、シャキ城に230人分の3食、1日690食を提供していた食堂の店主、37歳のゴルバド人男性、ガジモフについての情報を入手した。
ガジモフは事前に3か月分の食料を用意していたが、そのうち200人分を一方的にキャンセルされ、多大な負債を抱えようとしていた。
ーー現地別班員とガジモフ
現地別班員は多額の金を用意し、ガジモフにシャキ城の様子を聞いた。
「何をすればくれるんだ?」
ガジモフが金を見ながら尋ねると、現地別班員は城の様子を知りたいと答える。
ガジモフによると、現在シャキ城に残っているのは30人だけだった。
日本人男性4人と女性1人が捕虜として残っているのではないかと聞かれるが、城は大きく地下もあるため、ガジモフは分からないという。
そこで現地別班員は、230人分の食事を作っていた頃の献立表と、現在の献立表を見せてもらう。
2つの献立表を見比べ、現地別班員は現在の献立にも記載されているトウモロコシと大麦に着目する。
「よく分からないけど、ただ煮てオートミールみたいにしてバケツに入れて納品するんだ、家畜にでもやるんだろ」(ガジモフ)
「家畜?」(現地別班員)
「でも変だな、塩味にしろって」(ガジモフ)
「量は?」(現地別班員)
「トウモロコシも大麦も毎回500gずつだ」(ガジモフ)
このことから、5人は城内で生命維持に必要な最低限の栄養素を含んだ大麦とトウモロコシのおかゆだけを与えられていると推測される。
さらに現地別班員が、バルカで黒須駿を拉致した3人の写真をガジモフに見せる。
「この3人は城の中でよく見る」(ガジモフ)
「現在も?」
「ああ見たよ」
司令部が下した非情の決断
現地の調査結果から、司令部は現在もシャキ城に別班員5名が投獄されていると断定した。
問題はシンシーがガリル村の収容所へ移送したように見せた理由だった。
乃木はシンシーが野崎の潜入捜査を見破り、東条への振り込みがシャキ城の座標だと突き止めたうえで、別班が衛星から城を監視すると予測し、ジャマル収容所で奪還部隊を待ち伏せするためのフェイクだったと推測する。
一方、乃木は別の可能性も指摘した。
護衛が230人いる状態でシャキ城から5人を奪還する成功確率は6%。城の周囲は崖に囲まれ、侵入経路はオルコ村を通る正面に限られるうえ、通信も遮断されているため、遠隔ハッキングも不可能である。
しかし、護衛200人が去り、残り30人になったことで成功確率は45%まで上昇。乃木は今回の兵士の移動が野崎による奪還作戦への支援ではないかと考えを示した。
それでもハヤトの算出した成功確率は37%。シャキ城からの奪還作戦には多くの別班員を動員する必要があり、失敗すればさらなる機密漏洩につながる。
「司令部は黒須駿(松坂桃李)、高田明敏(3代目市川笑三郎)、和田貢(平山祐介)、廣瀬瑞樹(珠城りょう)、熊谷一輝(西山潤)、5名の奪還は断念することに決定しました。3日後、6月2日。エージェントを介して、5人の食事への毒殺混入による毒殺を決行します(櫻井)
「伝達事項は以上、乃木憂助、通常任務に復帰せよ」(別班幹部)
乃木が立ったまま一礼すると、通信が切れ、部屋は暗闇に包まれた。
ーー暗闇の中、そのままの姿勢で繰り返しつぶやく乃木
規律…規律…
規律の厳守
命令に服従する義務
列国の軍隊で共通する規律
規律を律することで組織は統率される
それを乱せば組織力は脆弱に
よって国家に危機が及ぶ

ーーシャキ城
捕らえられている黒須たちは、食事を与えられていた。
「無理しても食べた方がいい」と和田に声をかける黒須
「和田、食べろ」(高田)
和田の右手の人差し指と中指は第2関節付近から欠損していた。
ーー別班特別準備室
「規律、規律、規律の厳守、命令に服従する義務、列国の軍隊で共通する規律…」
暗黒の中、繰り返しつぶやいている乃木にFが問いかける。
「これでいいのかよ。家畜のエサみたいなおかゆにテドロトトキシンを入れて毒殺??お前、なんで抵抗しなかったんだ憂助!いいか、仲間を見殺しにするってことは、お前が殺害に加担してるのと一緒だぞ!いいからどうにかして助けに行け!あの黒須が殺されるんだぞ!?分かってんのか??聞いてんのか?おい、おい!憂助ー!!」
乃木の仲間たち
ーー丸菱商事
乃木は長野(小日向文世)から呼び出され専務室へ向かう。
長野は核融合や野崎のことをすべて聞いたと話し、自分もエリシャ・ママドフを捜す任務に就いていたと明かす。
「司令部の結論、どう思った?」(長野)
「極めて合理的かつ最善の結論だと思っております」(乃木)
長野は自分も乃木と同じ諜報員・工作員なのだから、教官に教わったような答えをするなと乃木を叱った。
「私は辛くて眠れなかったよ、あの熊谷君とはエリシャの任務で一緒だった。命令には絶対服従だ、それが義務、でも助けてやりたい。この抑えられない感情、君も同じであってほしいと思ったんだがな」(長野)
乃木はこれまで天涯孤独の身で、命を懸けて守りたい家族もない。米国人の同級生が1人いただけだったが、自衛隊に入り、黒須という2人目の友人ができた。以前の任務から一緒だった黒須は誰よりも自分を信頼してくれたため、その気持ちに報いようと自分の持つすべてを伝えてきた。
だからこそ黒須を見殺しにはできない。高田、和田、廣瀬、熊谷も、任務のために乃木の銃撃を受けて重傷を負い、その後も拷問に耐えている。国益のためとはいえ命令に従うべきか助けに行くべきか、乃木は揺れ動いていた。
司令が毒殺を決めたのは、別班員が救助に向かえば拿捕され、さらなる機密漏洩につながる危険が高いからである。しかし長野は救助に向かうのが別班員でなければ可能性はあると乃木に提案する。
乃木が特殊作戦群の出動は専守防衛の域を脱し国際問題になると懸念すると、長野は「それが君の仲間だったら?」と問いかける。
「わからんのか?テントの任務で君にはたくさんの仲間ができたと思うがね、少なくとも彼が動けば、最強部隊Y2Kも動かせる。賭けてみる価値はある、頼んでみろ、そしてまず司令のもとにいきなさい、深く司令の立場を考え、断固たる覚悟を持って話してみなさい」(長野)
「はい」(乃木)
「私のエージェント、ゲルンも参加させる。中国語が話せ、クンフーにも長けている、助けになるはずだ」(長野)
「ありがとうございます」と礼を述べる乃木に、長野は乃木の命もまた大切な人が守りたい命だとして、必ず生きて戻るよう伝える。
乃木は一歩下がり、長野に一礼した。
兄弟の絆
ーー布多天神社
乃木は境内の牛像にピンクの別班饅頭を置き、櫻井を呼び出していた。

「何事ですか、例の件は全て終わったはずですが」(櫻井)
乃木は黒須たち5名を奪還する許可を求めた。
別班員として参加するのは自分だけであり、すでにシンシーに知られているため、拿捕された場合は自ら命を絶ち、どんな結果になっても別班に迷惑はかけないと伝える。
「決定に背いてなお、自分なら全てを解決できるとお思いですか?傲慢な考えですね」と、櫻井は乃木以外に誰が参加するのか尋ねる。
「私の仲間です」(乃木)
「へえ~仲間…そうですか」(櫻井)
「はい、昨日話しました」
ーーノコルと電話で話す乃木
「やはり血のつながっていない兄弟だったんだな…」(ノコル)
「どういう意味だ?」(乃木)
ノコルは乃木がテントに初めて来た頃、父親(ベキ)が心変わりするのではないかと不安になり、憎しみや嫉妬を抱いていたと振り返る。しかし今では、実の兄弟以上の兄ができたことを神に感謝しているという。
「だが兄さんはそうではなかったんだな」(ノコル)
「何言ってんだよ、兄弟がいない僕に弟ができた、今まで味わったことのない喜びを感じている」(ノコル)
「だったら何で単刀直入に言えないんだよ、黒須たちを助けに行く、手伝えって!」
「じゃあ…」(乃木
「当たり前だ、テントは全精力をかけて兄さんに協力する」
ーー布多天神社
「そうですか…あなたが命をかけテント壊滅を目指したというのに、今度はそのテントが命を懸けてあなたに協力する。何か不思議な力…そう、天運を感じますね。禍福は糾える縄の如し、不思議な天運にかけてみるのも一興かもしれませんね」(櫻井)
「では…」(乃木)
【本記事の画像引用元】
作品名:ドラマ『VIVANT・第2シーズン』/ 放送・配信:TBS
備考:本記事の画像は作品の解説・紹介を目的として上記より引用し、加工を施して使用しております。


